2010年07月05日

心の歌


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紹介済みの 「 The Singin' Trav'lers 」 と同じレーベル 「 Custom Fidelity 」 からリリースされたカリフォルニアのクリスチャン系SSW 『 Tim Brownfield 』。レーベルのディスコグラフィーから推察するとリリース年は69年あたりだろうか。Tim 氏に関する紹介文には、ロックバンドいた彼が愛用のエレクトリック・ギターを処分し、A・ギターを手に入れたとある。この心境の変化に宗教が関係していたのか知る術はないが、この頃からオリジナルのゴスペルフォークを歌い始めたようだ。-- 全12曲収録された内、オリジナル10曲はA・ギターの弾き語り。残り2曲がCCM系コンポーザー 「 Ira Stanphill 」 作 "Follow Me (B-3)" に 「 Connie Belle Eaton 」 も歌っていた賛美歌 "I Beleive (A-3)" で、どちらもコーラスを交え不明の女性が美しい歌声を披露している。"Peace (A-1)"、"Room In His Heart (A-2)"、"What Has Happened (A-4)"、一人、教会の神と向かい合い真摯に語り合う、その心の言葉がそのまま歌になったような変化のない静かな楽曲が続いている。今にも弦を弾く手が止まりそうな寡黙な演奏にのせた歌声の浮遊感は、音楽の良し悪しを超越した心の呟きだろうか。終末論でも歌っているのか、終わりは近いと歌っている "The End Is Near (B-5)" 。感情を抑えた抑揚のない歌声の呟きには、アシッド感を抱いてしまうほど不思議な感覚に囚われる。-- 「 Tim Brownfield 」、ソングライターとして際立った楽曲はない。しかし、神と語りあう心の歌声とは、飾り気のない呟きにも似たこんな歌たちを指すのかも知れない。--
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2010年07月01日

程よい関係


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テキサス州ホンドにある教会の音楽インストラクターを務めていたPat 嬢 に、その教会のコーラス隊にいた Marilyn 嬢からなるクリスチャン系フォークデュオ 『 Pat Schrader & Marilyn Landers 』 。短い紹介文によると、2人が出会ったのが72年。教会での師弟関係から友情を育み、出会いから7年後に本作をリリースしている。オリジナルはなくCCM系コンポーザー ( Bill Gaither / Stuart K.Hine / Phil Johnson ) 等の楽曲だけ、全11曲収録。バンドスタイルの演奏にのせて純真無垢なハーモニーを聴かせてくれる。-- 好んでCCM系の音楽を聴いていると、教会と音楽の位置関係が、個人的嗜好を満たす選択の基準になってきているようだ。あまり近すぎると、近寄りがたいお堅い音楽になるし、遠すぎると、宗教を利用した商業的匂いを感じて好きになれない。遠からず近からず、教会と音楽の距離を程よく保って表現されている音楽が、SSWの音楽に馴染んできた者には心地よく聴こえてくる。2人の音楽は、その選曲だけでも教会に近いところにある音楽だと分かるものだが、美しいメロディの賛美歌を紡ぐ心地いいハーモニーは親しみやすい宗教音楽を味あわせてくれるもの。教会と音楽、2人の音楽は程よい距離を保っている。-- 雑木林の倒木に腰掛けてギターを爪弾く 「 Pat Schrader 」、その演奏にあわせて口ずさむ雑草に身を沈めた 「 Marilyn Landers 」。向かいあう2人の程よい距離に、宗教と音楽だけではない、心が通いあう人と人の結びつきも感じさせてくれる暖かなジャケット意匠である。---
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2010年06月22日

人を結ぶ歌


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カナダの総勢18人の若者たちからなるクリスチャン系コーラス隊 『 Just Us 』 。ノバスコシア州の州都ハリファックスにある教会 「 Pine Hill Chapel 」 で録音された本作には耳に馴染んだ楽曲が収録されている。-- ヤングブラッズでお馴染みの "Get Together (A-1)"、サイモン&ガーファンクルのヒット曲 "El Condor Pasa (A-2)"、ボブ・ディランの "I Shall Be Released (B-1)"、ビートルズの "Eleanor Rigby (B-2)"、CS&Nの "Teach Your Children (B-4)" など。CCM系の作品には良く採り上げられている楽曲だが、大所帯のコーラス隊で聴かせるのは珍しく馴染みの曲が別の趣をもって心に響いてくる。ペーストオンされたジャケットには、「 Just Us 」 の成り立ちや音楽スタイルについての紹介がある。それによると、身近なポピュラーソングを通じて教会や宗教の啓蒙活動をする 「 Services Of Contemporary Workship 」 に所属していた若者たちのようで、彼等の音楽スタイルについて "Folk Music, Folk Rock, Popular and Country Music" と紹介している。メンバーの中に、ロックでもやりそうな風体の男5人がいるが彼等が演奏を担当していたのだろうか。荒削りなその演奏にのせ、好きな歌だけを仲間みんなで歌い楽しんでいる録音風景が目に浮かぶ。個人的には、CCM系作品にある大所帯のコーラスものは敬遠しがち。それでも、彼等のコーラスに軽快な心地良さを感じるのは、耳に馴染んだ楽曲の多さと、ポピュラーソングを歌う若者たちの楽し気な気分がその音楽に感じ取れるからだろう。-- "ハリファックス" と言えば、すぐに結びつく言葉が大爆発。1917年12月6日、ハリファックス港で大量の軍用火薬を積んだ貨物船同士が衝突し大爆発。その爆風で市の大半が消失し数多くの死者をだした世界最大級の爆発事故である。「 Just Us 」 の若者たちの先祖の中にも、この悲惨な事故に遭遇した肉親がいるのかも知れない。---
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2010年06月13日

歌兄弟


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"Gary Morgan"と"Rich Maresh" からなるイリノイ州シカゴのクリスチャン系フォークデュオ 『 Gary & Rich Brothers 』。短い紹介文によると、コンビを組んだのが1964年。コンテンポラリーフォークを歌い始めた本作リリース時 (60年後期?) は、セントルイス大学の学生だったようだ。ボブ・ディランの作品を3曲も採り上げている彼等の作品は、カヴァーアルバムを収集しているサイト 「 Dylan Cover Albums 」 にも紹介されている。-- Bob Dylan作 "Don't Think Twice, It's All Right (A-4)、Times They Are A-Changin' (B-1)、A Hard Rain's A-Gonna Fall (B-4)。Laura Nyno作 "And When I Die (A-3)"。Ewan McCollの名曲 "The First Time Ever I Saw Your Face (A-5)"。Paul Stookey作 "The Good Times We Had (B-2)"。オーストラリア人SSWのGary Shearston作 "Sometime Lovin' (A-2)"。盲目のブルースシンガー Rev. Gary Davis作 "If I Had My Way (A-6)" などのカヴァー曲に、トラッドを加えた全10曲収録。アコースティック・ギターのフィンガー&カッティング音にのせて60年代フォーク独特の素朴で暖かい歌声を聴かせてくれる。中でも、ボブ・ディランの3曲とイワン・マッコールの名曲は心に染み入る仕上がりだ。「Abby Koffs」の手になる筆絵風ジャケット・イラストも彼等の素朴な音楽に相応しい出来栄えである。-- 「 Bill Maresh 」 の演奏( guitar,banjo ) に 「 Gary Morgan 」 のヴォーカル。「 Gary & Rich Brothers 」 がコンビを組んだ同じ年には、あのサイモン&ガーファンクルが「 水曜の朝、午前3時 」でデビューしている。S&Gの活躍に彼等の音楽スタイルが刺激を受けていたとしても何の不思議もないだろう。 ---
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2010年06月07日

なごり歌


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曲の中にテンポ違いの2つのメロディ、元気に跳ね回る子供の無邪気さと凛とした大人の女性の佇まいが同居しているデュエット "Bugs (A-3)"。子供の歩調に合わせ軽やかに散歩している親子の風景が浮かぶ陽気なデュエット"Lcy Sidewalks (B-2)"。CCM系作品に子供の歌声が登場するのは珍しくもなく、よく出会えるもの。ワシントン州のクリスチャン系SSW 『 Kathy Pederson Evans 』 も、2曲で子供とデュエットソングを歌っている。-- セルフ・プロデュース。共作3曲含むオリジナル12曲収録、控え目なバンドスタイルの演奏に淡いコーラスを交えて素敵な歌声を聴かせてくれる。愛らしいメロのウェディングソング "When I Wake Up (A-1)"。管楽器入りの穏やかなAOR "What A Difference (A-2)" に "Micah And Matthew (B-4)"。スピリチャルさ漂う美しいバラード "Shalom (A-5)" に "Three Scenes (B-1)"。川面を流れる清流音に鳥の囀りに似たフルートだけの無伴奏形式で歌われるトラッド風味な "Blanket Of Love (A-6)"。ミスティックな印象を与えるメロディの表題曲 "The Way, Truth, And Life (B-3)"。聖歌隊の荘厳なコーラスが神聖さを演出しているバラード "We Give Praise To Him (B-6)"。個人的には、あまり飾り過ぎない質素な美しさがCCM系サウンドの魅力のだが、本作にもそれが当てはまる楽曲が詰まっている。-- まだ少女のなごりを残した、誰にも好感を与えそうな愛くるしい笑顔の 「 Kathy Pederson Evans 」。録音は、ワシントン州・チーニーにあるイースタンワシントン大学 。マスタリングは、カリフォルニア州バーバンクのKMスタジオ。彼女はテープ作品も残しているようだが、その他の情報は得られなかった。録音当時、彼女はこの大学に通う学生だったのだろうか。---
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