2010年09月01日

無粋な夏


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お盆を過ぎれば夏の暑さと戯れていた人々の喧騒も静まり、夜吹く涼しい風に秋の気配を感じるのが例年のこと。それが未だに猛暑の夏を引き摺っていて一向収まる気配がない。海岸線に平行して走る車窓から見る風景は、いつもの夏なら人気の消えた寂しい浜辺のはずなのに、夏の余韻を楽しむ多くの人々の姿が見える。暦通りに季節が推移する変化のない定番の日常は退屈でもあるが、四季折々の変化こそが日本の美しい原風景であり、人生に折り目をつけるいい機会のはずなのだが。-- イリノイのアフリカ系アメリカ人SSW 『 Sonnie Burton 』、酒もクスリもやらない品行方正なジミヘンみたいな風貌に見えるのはクリスチャンだからだろうか。オルジナル3曲、「 Dennis Lambert and Brian Potter 」 作の反戦歌 "One Tin Soldier (B-4)"、CCM系コンポーザー 「 Bill Gaither / Andrae Crouch 」 作の"He Touched Me (A-3)" に "The Blood Will Never Lose Its Power (B-5)" 、ゴスペルの定番 "Amazing Grace (A-4)" などを加えた12曲収録。全編、A・ギターとピアノの弾き語り。よく通る線の細い声質からはブラックのイメージは少なく、白人フォーキーのような印象を受ける。彼もCCM系が好んで採り上げる定番中の定番曲キャロル・キングの "You've Got A Friend (A-1)" を奏っている。名曲のオリジナルを凌駕するのは難しいところだが、もし超えるとすると単純に歌う人の声質だったりもする。黒人独特の深みのある線の太い声質ではない彼の歌う名曲は、凡庸な仕上がり。むしろ、"Passing By (B-1)" や "An Answer (B-2)" などのオリジナル曲で聴ける心地良さが名曲よりも印象に残るし、心に響いてくる。この辺りは名曲を採り上げるデメリットだが、多くのCCM系ミュージシャンがこの名曲を歌う意味は、彼等にとって"フレンド"という言葉が宗教活動には欠かせない重要なキーワードだということだろう。-- そう言えば、鳴き始めていい頃の秋の虫たちの声が一向に聞こえてこない。彼等も今年の夏の異常さを察しているのだろうか。予報では当分この暑さは続くと伝えているが、いずれ収まるにしても今年は短い一瞬の秋になりそうだ。秋を通り越し、夏から一気に冬へなんて無粋な事だけは願い下げである。---

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2010年08月15日

夕焼け楽団


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近くの海から吹く潮風にのって音楽の波動が微かに聴こえてくる。日本海に沈む夕日を眺めながらコンサートを楽しもうというコンセプトの毎夏恒例の音楽イベントが開催されている。今年も有名ミュージシャン等が顔を揃え、5万人を超える動員があったようだ。この音楽イベントに続く花火大会が終われば、お盆。いつもの夏に比べ、今年の夏の暑さは尋常なものではなかったが、お盆を過ぎればその暑さも少し落ち着いてくれるだろう。-- 夕日の浜辺に佇む4人組(女性1人含む)はミシガンのクリスチャン系フォークロックバンド 『 The Salt And Light Co. 』 の面々。彼等も、夕日という情景が良く似合う爽やかな音楽を奏でている。全11曲オリジナル。美しいメロディにのせCSN&Y風コーラス入りの "For You And Me (A-2)"、"A Love Song (A-4)"、"Lay Your Burden Down (B-2)"。アップテンポでスウィンギーな "For You And Me (A-2)"。ファンキーにロックしている "Good Purpose (B-1)"。バンジョー入りのカントリーテイストな "Sing Your Praises (A-5)" に "Leave Hy Troubles (B-6)"。間奏に朗読が入るバラード "To Know You (B-4)"。男性陣がリードVoをシェアしているが、このバンドの魅力は楽曲の出来もさることながら、やはり美しいハーモニーの心地良さだろうか。A・ギターを基調にしたフォークバラードの心地良さは、夕日を眺めながら聴けばもっと格別なものだろう。-- 「 The Salt And Light Co. 」、裏ジャケにはプラス3名の顔写真入りクレジットがある。サポートなのか正式メンバーなのかは不明。お盆恒例の墓参りのロングドライブの行き帰りには、彼等7人の爽やかな歌声がお供してくれた。---
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2010年08月08日

真夏のミッション


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イリノイ州の 「 Scott House 」 からリリースされたクリスチャン系SSW 『 Larry Reineck 』 。アルバムタイトルの 「 Mission ( ミッション ) 」 は任務や使命・作戦を意味する言葉だが、元来はキリスト教布教のための伝道 ( 団体 ) を意味する。このことからも、宗教色の強いゴスペル音楽だということは聴かずと想像できる。-- Larry Reineck ( Lead Vo, Guitar, Piano, Flute, Cello, Harpsichord )、僅かに助演は受けているが全て自身の演奏によるもの。A面は3曲だけ、"メッセージ1"と題されたB面には7曲、全てオリジナルが収録されている。多くの楽曲に「 St.Patricks Parish Center 」 で録音された10名からなる聖歌隊のコーラスがついているのは、以前紹介した 「 Bob Hurd / Ron Griffen / Jim Strathdee 」 と同じ音楽スタイル。違うところは、Larry氏が紛れもなく本作の主役であり、聖歌隊の存在はLarry氏の歌を彩る為のものだというところ。特に、5分前後の楽曲が収録されたA面。"St. Francis Prayer (A-1)"、"Through Mary's Eyes (A-2)"、"Christ Is (A-3)" の3曲には、聖歌隊のコーラスが曲調を盛り上げるストリングスのように効果的に配置されている。崩しのない端正なジェントル・ヴォイスのLarry氏だが、A・ギターやピアノの弾き語りで歌われるゴスペルフォークのバラードたちはSSW作品としての心地良さが十分に味わえるものだ。これも、本作の主役である 「 Larry Reineck 」 のバイプレーヤーに聖歌隊の存在が徹しているからだろう。-- フルートで録音参加し、素敵なジャケット写真も手がけている 「 Sharon Reineck 」 は彼の奥さんだろうか。また、聖歌隊の中に名前がある「 Brenda Reineck 」 は娘さんだろうか。彼等一家が通っていたのはカトリック系の聖パトリック教会。宗教無縁者には行く機会など一生ないだろうが、敬虔な祈りと荘厳な教会に流れるゴスペル音楽が日々の疲れた心を癒してくれるだろうことは理解できる。「 Larry Reineck 」 の音楽に込められたメッセージは、そこにあるのだろう。---
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2010年07月28日

スターダストの歌


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1973年6月に録音されたニュージャージーのクリスチャン系フォーキー 『 Joe Saint 』。幼少期から熱心に教会に通い、学生時代も教育プログラムで宗教を学んでいたようだ。音楽も平行して学んでいたようで、本作も全ての楽器 ( Guitar, Drums, Organ, Piano, Organ, Bass ) を演奏し歌っている。-- 本作には、-- Sings Inspiratinal Song -- ( インスピレーションを与える歌 ) という副題がついている。自身が影響を受けた歌なのか、人々に影響与える歌という意味が込められているのか、ビートルズの "Let It Be (A-4)、ジョニー・ナッシュの "I Can See Clearly Now (B-1)"、キャロル・キングの "You've Got A Friend (B-3)" など、CCM系の人が良く採り上げるヒット曲が収録されている。プラス、"Welcome Table (A-1)"、"Take Our Bread (A-3)"、"Prayer To ( Ofのミス? ) St. Francis (B-4)"、"Day By Day (B-5)" などのゴスペルソングを加えた全10曲収録。全曲で素朴なフォークロックを奏でているが、オリジナルがないのは残念なところ。また、聴く者に副題通りのインパクトを与えるところまでは消化されきれていない凡庸な印象を受ける音楽だ。お隣の州・ニューヨークのナイトクラブなどのローカルエリアで演奏し、ラジオやテレビ出演経験などもあったようだが、彼の音楽への評価はどんなものだったのだろうか。個人的には、アコースティック・ギターの弾き語りなどシンプルに奏ってくれたほうが印象強い作品に仕上がったと思うが、これもCCM系作品に思い描く勝手な願望だろうか。-- 「 Joe Saint 」 について調べてみたが、彼に関する情報にはアクセス出来なかった。本作以外に作品が存在するのか、今もどこかで歌っているのか。今から数十年前の1973年、星の数ほど存在していたであろう歌い手の中に 「 Joe Saint 」 がいたのだけは確かである。---
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2010年07月16日

明日に架ける歌


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ミネソタのゴスペルフォーク3人組 『 Sonfolk 』 、彼等もクリスチャン系が好んで採り上げる定番曲 "Bridge Over Troubled Water (A-3)" を奏っている。カヴァーにも、オリジナルに忠実なものからアレンジを加えたものまで様々だが、彼等は曲中に別の楽曲を入れ込むサンドウィッチ形式をとっている。CCM系コンポーザー 「 George Bennard 」 作の "The Old Rugged Cross" という楽曲で、メロディの違いも少なく違和感なくオリジナルに溶け込んでいる。あまりにも有名なこの曲に関して個人的には食傷気味なのだが、別の楽曲を入れ込むアレンジで心地よく聴ける楽曲に仕上がっている。-- オリジナルなく(多分)、カヴァーものだけ10曲収録。Doris Akers作 "Sweet, Sweet Sripit (A-1)"。キャット・スティーブンスがヒットさせた賛美歌 "Morning Has Broken (A-2)"、Larry Norman作 "I Wish We'd All Been Ready (A-5)" など、A面はスピリチャルなフォークスタイル。B面は一転、The Sly and The Family Stone のヒット曲 "Stand (B-1)" で幕開け。ファッズG入りのガレージロックっぽさには違和感をもってしまう曲。ブルース・ハーモニカ&ボトルネックG入りのブルース "Reasonal Boogie (B-3)" なんて単独の楽曲としてはいい出来だが、フォーク色の強いA面と比べると唐突さは否めない。それでも最後はスピリチャルなフォーク "Matthew 6:22 (B-4)" 、Homecoming (B-5)" で締めてくれる。-- 「体のともし火は目だ。だから,あなた方の目が健全なら、あなた方の全身は光で満ちているだろう」 -- 前者の楽曲は聖書の一節にメロディをつけたもののようだが、どうせなら、ジャケットのイメージ通りの心優しいフォークサウンドで全編を埋めて欲しかったものである。-- バックを務めている5人の中に、ミネアポリスのロックバンド 「 The Echomen / The Bedlam Four 」 に在籍していたメンバーがいる。B面のロックな部分は彼等の影響もあるのだろうか。---
posted by beck at 17:35| Comment(0) | 音楽(US) | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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