2009年01月06日

リーとラリー


sb_356.jpg



Larry Murray」のプロデュース作として知られている作品にSSW「Digby Richards ('74)」がある。その翌年、ラリー・マレイはSSW作品をもう一作プロデュースしているのだが、それが本作『Lee Conway』である。リー氏もディグビー氏同様にオーストラリアのカントリー系のSSWで、そのまろやかで心地いいカントリー・サウンドは両作共通している。その上で、ディグビー氏との違いを見出すなら、リー氏の声質のほうが太く深みがあり、バックサウンド(Guitars, Keyboards, Bass, Drums, Harmonica, Pedal Steel, Dobro)もタイトでシンプルだ。また、一番の違いはラリー・マレイ作が4曲もあるところだろう。-- 全11曲中オリジナルは一曲、あとはカヴァー曲(Don Williams, Kris Kristofferson, Bob McDill, Shel Silverstein)が占めている。アウトローカントリー系の楽曲を好んで採り上げているところからも、その影響がリー氏の歌い方に色濃くでている。この辺りは好みの別れるところだが、凡庸なアウトローカントリー作品と僅かに一線を画しているのがシンプルなバックサウンドだろうか。「Christine Howard」嬢とのデュエット曲"It Sure Was Love (B-4)"で聴けるタイトさは、以前紹介した「Billy Charne」に近いスワンプの薫りを漂わせた素敵な曲である。4曲あるラリー・マレイ作"The Dreamer (A-5)"、"Mama Lou (B-3)"、"Gunman's Code (B-5)"、"Hubbardville Store (B-6)"。日本の演歌の"こぶし"同様に、アウトローカントリーにも"こぶし"的な独特の節回しがあるのだが、リー氏が歌うラリー・マレイ作は紛れも無くアウトローなカントリーソングになっている。やはり、「Lee Conway」は根っからのアウトローカントリーなSSWなのだろう。-- ラリー・マレイのプロデュース作として知られている作品に「Severin Browne」や「Swampwater」の2作目がある。また、2曲だけだが「Stephen Ambrose」にも関わっている。まだ、他にも存在を知られていないプロデュース作品があるのかも知れないし、あるのなら間違いなく聴いてみたくなることだろう。---

posted by beck at 10:58| Comment(0) | 音楽(AU) | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2008年11月21日

国民的SSW


sb_343.jpg



オリンピックや各種スポーツの世界大会など、大きなスポーツイベント事にはテーマソングがつきもの。米・男子ゴルフツアーのメジャー大会のひとつ「マスターズ」にも「Augusta」という表題の公式ソングがある。歌っているのは、'70年代から活躍しているSSWの「Dave Loggins」。ゴルフ殿堂入りしている過去の名プレイヤーたちの名前が歌詞に盛り込まれた素敵なバラードで、ゴルフ好きなら一度は耳にしたことがあるだろう。オーストラリアでは、国民的人気スポーツであるフットボールの公式ソングをSSWの『Kevin Johnson』が歌っている。「Aussie Rules I thank you for the best years of our lives」題されたこの曲は、フットボールの歴史100年目を記念したもの。ケビン氏のヒット曲「Rock and Roll I Gave You The Best Years of My Life」(2作目の収録曲)の表題と歌詞を代えただけのものだが、マスターズの公式ソングにも負けない素敵な歌である。-- 本作「Joureys」は、そんな彼の4作目にあたる作品。ヒット曲「Rock and Roll 〜」は「Mac Davis」等のカントリー系の人にカヴァーされているので、彼自身カントリー系のSSWには違いない。しかし、オーケストラを配した極上バラードの数々は凡庸なカントリーとは一線を画している。キャッチーなメロディを有したオリジナル曲はどれも捨て堅いのだが、渋く深みのある男の歌声には"Oleanders (A-2)"や"I Came To Somerest (B-1)"などのバラード系が良く似合うし魅力的だ。表題の「Journeys」通り、旅情へと誘うようなバラードの歌心は彼の真骨頂だろう。旅先でぼんやりと眺めている、そんな美しい風景が目に浮かぶような気持ちにさせてくれる素敵な音楽である。-- 日本でもそうだが、公式ソングを歌える歌手はその国での人気度や認知度が高いという証左だろう。公式ソングを歌っている「Kevin Johnson」、オージーの間では、その名を知らぬものなどない国民的SSWの一人ではないかと想像している。---

Kevin Johnson Official Site
posted by beck at 11:43| Comment(1) | 音楽(AU) | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2008年04月18日

青の時代


sb_288.jpg



ヴァン・モリソンほどソウルフルでもないし、熟成された渋い声質でもない。しかし、彼の歌声を聴いていると若さ溢れる青きヴァン・モリソンを連想してしまうオーストラリアのSSW『Mark Gillespie』。その歌声も魅力大だが、バックを務める面子が叩き出すタイトで硬質なバンドサウンドがもう一つの魅力になっている作品だ。E・ギターは、オーストラリアのロックバンド「Daddy Cool」に在籍していた「Ross Hannaford 」。ベースは、自身のソロ作品やオリビア・ニュートン・ジョン、カイリー・ミノーグ等のサポートメンバーでもあった「Joe Creighton」。ドラムスは、オーストラリア産AORバンドとして人気の高い「Stylus」に在籍していた「Mark Meyer」。表題曲の"Only Human (A-1)"や"Suicide Sister (B-1)"などで聴けるソリッド感のあるロックサウンドは、少しポップアップした英国の「Bryn Haworth」あたりとの共通性を感じたりする。ブリン・ハワースは、R&Bやホワイトソウル・ゴスペルなどの米・南部音楽の影響は受けていたが、「Mark Gillespie」の音楽はドロ臭さい南部のものではなく陽気でカラッとした西海岸のものだ。プロデュースは「John Sayers」。強力なバック陣を従えたグルービーでファンキーなR&Rからメロウな楽曲まで、全10曲オリジナル。オーストラリア産の素敵なロックヴォーカル作品の一枚だと思う。-- 「Mark Gillespie」は、本作とほぼ同じ布陣で「Sweet Nothing ('81年)」という作品を残している。残念ながら、彼の今の消息を知ることは出来なかった。もし、今もどこかで歌っているとしたら、彼の青い歌声はきっと渋みを増していることだろう。---
posted by beck at 21:31| Comment(0) | 音楽(AU) | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2008年04月13日

アダルトキッズ


sb_287.jpg



前回紹介の「Dan Johnson」のデュオ作に一曲だけハーモニー・ヴォーカルで参加していたSSW『John Summers』。オーストラリア産のフォーク音楽を中心に紹介していたレーベル「Larrikin」には珍しく、コンテンポラリーに分類されていた人だった。全10曲オリジナル、A・ギターを奏でながらジャズ風味の繊細な歌声を聴かせてくれる。ペダル・スティールが入ったカントリーフォーク調の"Warmer Days (A-1)"とR&Rスタイルの"Brainfood (B-1)"を除けば、ジャジー感漂うアダルトな楽曲が占めている。ゆったりとスウィングするブルージーな"Going Down For The Third Time (A-2)"、クラリネット&サックスが入ったニューオリンズジャズ・テイストの表題曲"The Compromise Kid (A-3)"、アップテンポなA・ギターのカンティングストロークによる"Discoveries (A-4)"、A・ギター&ピアノにブラシドラムスがゆったりとリズムを刻む"Shadow Boxing (B-2)"などなど、ジャズの香りが漂ってくる。勿論、A・ギターの弾き語りの"Independence Day (A-5)"や"Country Girls (B-3)"ではフォーキーらしい一面も覗かせてくれるが、音楽的立ち位置はジャズに大きく踏み入れている印象が強い。全編通して、大人の雰囲気がたっぷりと染み込んだ素敵な音盤だと思う。-- 冒頭の「Dan Johnson」のデュオの片割れ「Al Ward」、それにデュオ作品に録音参加していた「Don Hopkins」も本作に顔を見せている。当時、彼等は「John Summers」と交流があったのだろう。---
posted by beck at 16:28| Comment(0) | 音楽(AU) | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2008年04月12日

オージーの音使い


sb_286.jpg



'75年に「Ward & Johnson」名義で作品を残しているデュオの片割れ『Dan Johnson』のソロ。「Don Hopkins (mandolin, piano, rhythm guitar, harmonies vocal)、 Colin Watson (lead & rtythm guitar)、 Coletto Johnson (harmonies)」等、デュオ作品に録音参加していた面子が本作にも顔を揃えている。ライ・クーダーにインスパイヤされたというバート・バカラック作の"Mexican Divorce (A-6)"、録音参加している「Don Hopkins」作の"Raglan Stiff (A-3)"以外は彼のオリジナル、全11曲が収録されている。曲によってドラムスが入るが、A・ギターやマンドリンを基調としたパーカッシブなアコースティック・サウンドはデュオ時代と変わらない。コンガの刻むリズムが心地いい"Ralgan Stiff"、マンドリンがスウィング感を煽るオールドタイムな"Singing In The Shower (A-5)"に"Frankie And Johnny (B-3)"、リズムカルなカッティングストロークによるA・ギターの弾き語り"You Were (B-4)"、キャッチーなメロを持ったパーカッシブな曲"Mooney (B-5)"などなど。乾いたアコースティック・サウンドが全体を支配する地味な音楽だが、個人的にはデュオ作品より好みである。-- '80年代、オーストラリアやニュージーランド産の作品に興味を持ち集中的に聴いていたことが一時期あった。懐具合もあり、際限がないので聴くのは途中でやめてしまったが、オセアニア地域にも素敵なフォーキーなSSWたちが数多く存在するのは間違いない。---
posted by beck at 18:06| Comment(0) | 音楽(AU) | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
×

この広告は1年以上新しい記事の投稿がないブログに表示されております。