2010年04月30日

深みの様相


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初期のスタジオワーク2作品の内の一作目 「 The Anvil Of God's Word 」 は紹介済みのクリスチャン系SSW 『 Jeff Johnson 』。本作は、その2年後にリリースされた2作目。楽曲が途切れることなく構成されたサウンド・プロダクションのプログレッシブさは両作品に共通するもので、スタジオ録音でしか表現し得ないドラスティックな演出が施された作品に仕上がっている。-- 階段を踏みしめる足音、ジャラジャラと音をたてる鍵をとりだしドアを開けるとオーケストラの奏でるシンフォニーが流れてくる。そして、静かなピアノの弾き語り "Happy Ending (A-1)"、"The Thinker (A-2)" へ。突然の電話のベル音がこの曲のエンディングを知らせ "All Hallow' Eve (A-3)" に導いていく。そして3曲目 "What Ever Happened To The Human Rece? (A-4)" はドアを閉める音でA面最後のピアノの弾き語り曲 "Help Me (A-5)" へと誘う。その各々、単独の楽曲としても素晴らしいものだが組曲的な演出は好みの別れるところかも知れない。B面はその色合いは薄れ、ピアノ系のSSWらしい姿を見せてくれる。ドリーミーなメロディを持った "The Moulin De La Galette (B-1)"。淡いサポートを受けたピアノの弾き語りのバラード "Gaugin's Dream (B-2)"。タイトなドラムス入りのフォークロック "A Walk In The Alps (B-3)" に Princess And The Jester (B-4)"。キャッチーなメロディを持ったポップロックナンバー "Now I Am Free (B-5)"。そして、美しいピアノの弾き語り "Even If I'm Not Sure (B-6)" で静かに幕を下ろす。-- 過去、数多くの作品を残している 「 Jeff Johnson 」。スタジオワーク2作品の組曲的な作風は初期作品だけのものだろうか。個人的には本作B面で見せてくれた素直なジェフ氏の姿が好みである。---
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2010年04月24日

季節の瞬き


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今も現役で活動しているミネソタのクリスチャン系SSW 『 Bill Greenwood 』。鉛筆でスケッチされた繊細なジャケット意匠にミネソタ産とくればアコースティックなフォーキー・サウンドを想像しそうだが、それとは違うロック寄りのAORサウンド。オリジナル10曲収録、自身の( vocal & harmony, piano, harmonica ) にバンドスタイル( e.guitar, bass, drums ) のバックがついている。-- チョッパーベースにドラムスがタイトなリズムを刻む "Changes (A-1)"、ブルース・ハーモニカにE・ギターのソロが入る "If You Were Me (A-3)" などはロック色の強いAORサウンドだが、リズム重視のシンプルなサウンド・プロダクションがなされているので心地よく聴ける。"Shine (B-2)" に "Unchanging (B-3)" も同タイプの楽曲だが、どこか頼りなさ気で甘ったるい歌声のビル氏にはピアノマンらしい弾き語りのバラードが一際光っている。淡いバンドサポートを添えたピアノの弾き語り "Time Of Seasons (A-2)" に "Suide To Joy (B-4)"。ピアノオンリーの弾き語り "Friend Of Mine (A-5)" に "Man Of Sorrows (B-5)"。そのどれもがチャッチーな美しいメロディを有しており、エモーショナル度を抑えたメロウな歌声には心癒される。ビル氏の直近の歌声を一曲だけ "MySpace" で聴くことができるが、これもピアノオンリーの弾き語り曲である。-- 「 Bill Greenwood 」、'78年に 「 From The Inside Out 」 という作品を残している。本作は、それとは幾分か洗練されたサウンドになっているものの、硬軟バランスのとれた良質のAOR作品に仕上がっている。---
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2010年04月18日

エド創成期


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クリスチャン系SSW 『 Ed Kilbourne 』 を紹介するのは、これで5作品目 ('74/'77/'83/'85)。リリース年は不明だが、キャリアをスタートさせたジョージア時代のもので'70年代初頭あたりだろうか。-- Ed Kilbourne ( acoustic guitar, vocal ) / Ronnie Grier ( Bass ) / Paul Collier ( drums )、一人で多重録音するスタイルの人だが、本作ではシンプルなバンドスタイルのバックを従え、小気味いいフォークロックを聴かせてくれる。ニルソンの "Everybody's Talking (A-1)、サイモン&ガーファンクルの "Bridge Over Troubled Water (A-3)、 ジョン・デンバーの "Leaving On A Jet Plane (A-4)"、ビートルズの "Let It Be (A-5)"、ジョー・サウスの "The Games People (B-2)、ジミー・ウェブの "By The Time I Get To Phoenix (B-3)"、ディック・ホラーの "Abraham, Martin & John (B-4)" など、全12曲収録。ヒット曲のカヴァーにオリジナルをプラスする曲構成のエド氏だが、本作ではカヴァーものが主のようだ。エド氏の声が若々しいのは当然にしても、サウンド的にロック寄りのタイト感溢れるものになっているのは'80年代前後のエド氏の作品とイメージの違うところだろうか。これらも魅力的なものだが、"Joy In The Morning (A-6)"、"The Lord's Prayer (B-6)" などのA・ギターの弾き語り曲がエド氏の深みのある声質にはしっくりくるし、やはり個人的嗜好を満足させてくれる。エド氏の作品でドラムス入りを聴いたのは本作が初めてだが、長い音楽キャリアを歩んできたエド氏創成期の初々しさに溢れた意気のいい音楽になっている。-- 「 Ed Kilbourne 」 を中心にしたジャングルジムの集合写真には23人の黒人の子供が写っている。メゾシスト派系学校の教師を務めていた妻 「 Judee Kilbourne 」 の教え子たちだったのだろうか。本作は、その妻に捧げられている。---
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2010年04月11日

筋肉と脳


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ペンシルベニアのクリスチャン系SSW 『 P.J.Hoffman 』 のデビュー作には 「 筋肉と脳 」 という不可思議な表題がつけられている。同州の都市・フィラデルフィアで始まった非暴力で社会変革を訴える活動団体 「 Movement For A New Society 」 に所属していたようで、本作もこの団体からリリースされている。-- P.J.Hoffman ( vocals, 6&12 string guitar ) / Steve Walker ( acoustic & electric guitar, alto sax ) / Joe Abuso ( electric & upright bass ) / Jack Pray ( piano, flute )、セルフプロデュース、オリジナル14曲収録。浮遊するフルート入りの弾き語り "I Could Have Fixed It (A-2)"、プロテスタント系の聖職者だった父を歌ったピアノ入りの弾き語り "Preacher Man (A-5)"、 ブルース調の "Old Jesus (B-1)"、エフェクターを通したEギターのような唱法を披露している "Silence And Song (B-2)"、A・ギターの弾き語りの穏やかなフォーキーソング "I Have Been A Stranger (B-4)" などなど。彼のつくりだす音楽はどれも一筋縄ではいかない沈鬱なダーク感が随所に漂っている。耳に馴染み易いフォーキーなサウンドとは言えないが、彼の音楽こそアシッドフォークと解釈して聴けばいいのかも知れない。所属していた活動団体に捧げた曲 "Hero's To The People (B-6)" があるように、収録された楽曲には政治的な歌詞内容が含まれているようだ。表題の 「 筋肉と脳 」 には、暴力に負けない筋肉をも備えた強靭な脳をつくろうという思いがあったのか。或は、腕力(暴力)に頼らないで知恵(頭)を活かして社会を変えようという団体の趣旨が反映されているのではないのかと推察している。-- 「 P.J. Hoffman 」、デビュー作に26年を要したとライナーで述べている。そして、多分、2作目は26年も待たすことはないだろうとも言っている。この自身の言葉通り、彼は2作目をリリース出来たのだろうか。---
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2010年04月05日

新緑の歌


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まだ寒暖の差があり朝夕のストーブは欠かせないが、春めいた陽気が感じられる日々が増えてきた。北国の桜の開花宣言はまだ先のことだが、その日も遠からずの感だ。本作のジャケット色のように、瑞々しい新緑が大地を染めるのも間近いことだろう。-- リリース年不明のミネソタのクリスチャン系SSW 『 Connie Belle Eaton 』 。レコード番号 ( CHS-7329 ) からの推察になるが、多分、'73年に間違いはないだろう。オリジナル4曲、「 Larry Norman / Doris Akers / B.Hanks Jr 」 等のCCM系コンポーザーのカヴァー曲に賛美歌など、全13曲収録。全編弾き語り、賛美歌を中心に純真無垢な歌声を聴かせてくれるが、その美しさは他のCCM系フォーキーの "Linda Rich" や "Marj Snyder" 等と何ら劣ることはない。キャット・スティーブンスでお馴染みの賛美歌 "Morning Has Broken (A-1)"、聖書の一節だろうか、歌声に朗読する男性の声がオーバーラップしてくる "I Believe (A-6)"、オリジナルの表題曲 "Oh That I Had Wings Like A Dove (B-3)"、定番ソング "Amazing Grace (B-4)"。余計な音の装飾のない分、全編を支配するスピリチャルな神聖さは聴き手の心を鎮め癒してくれる。鉛筆で描かれたイラストは兄妹である 「 Ken Eaton 」 が手がけている。決して上手いとは言えないアートワークだが、そこが又、彼女の音楽の神聖さと素朴さを良く伝えている。-- 「 Connie Belle Eaton 」、今もミネソタで暮らし歌っているのだろうか。あれこれ調べてみたが、彼女の現在には辿り着けなかった。前述のリンダ・リッチの場合もそうだが、クリスチャン系の女性SSWにはその後の安否や所在を肉親すらつかめない人が少なからず存在する。そこには、他人には計り知れない理由でもあるのだろうか。---
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