2009年11月28日

難民の歌


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ニューイングラン地方に属するコネチカットは北大西洋に面する州。大西洋岸は海からアメリカへの密入国を試みる事件が多いところで、以前、中国人の密入国ブローカーが手引きした貨物船がロングアイランドの沖合いで座礁し、多くの中国人が亡くなった事件があった。ジャケット写真の東洋系とおぼしき女の子は、その事件と何か関係があるのだろうか。-- コネチカットのクリスチャン系SSW 『 Michael Kelly Blanchard 』 の2作目。裏ジャケットには表題曲 「 Love Lives On 」 の歌詞の一節が紹介されているが、海で亡くなった難民両親の子供のことを歌った内容のようでジャケット写真とも符合している。AOR寄りのジャジーなサウンドを奏でるSSWだが、その心地良さとは裏腹に社会性の強いメッセージが込められているようだ。'77年のデビュー作は、元PP&Mのノエル・ポール・ストゥーキーがプロデュースで関わっていたが、本作でも1曲(B-5) だけ手がけている。オリジナル、全10曲収録。ジャジーでパーカッシブな "Give It Up (A-1)"、娘の "Esther" の声から始まるバラード "Apricot Ears (A-4)"、スウィング調の "Gideon (B-1)"。そして、表題曲のバラード "Love Lives On (B-4)" など。sb_416a.jpg奥さん "Greta" 嬢とのハーモニーの相性もハッチリで素敵な歌声を聴かせてくれる。10代には作曲を始め、後にバークレー音楽院で作曲を学んだという正統派だけに、A・ギターやピアノに導かれるメロディには優しさや繊細さの中にもどこか知的な雰囲気を感じさせてくれる素敵なSSWである。-- 過去、多くの作品を残している 「 Michael Kelly Blanchard 」 だが、本作リリース時の娘(現在は2人)とジャケット写真の女の子は同じ歳ぐらいに見える。娘をもつ一人の親として、難民の子供の将来には無関心ではいられないという思いが表題曲にはあったと想像している。---
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2009年11月21日

寒雨の歌


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ここ数日、強い風を伴った鬱陶しい雨の日が続いている。朝夕のストーブは2週間前ほどから欠かせない状態で、一雨ごとにその寒さを増してきているようだ。季節の変わり目に敏感な外猫たちが、外出から戻った車のエンジンの暖かさを求めてボンネット上を今日も占領していた。-- 50年代半ばから活動しているカナダのフレンチ・ホルン奏者 『 Davis Amram 』。ジャズとクラシックの領域を行ったり来たりしている人だが、本作ではSSWの世界に寄り道し素敵な歌声を聴かせてくれている。スタジオ録音に、オンタリオにある大学 「 Seneca College 」 内の 「 Minkler Auditorium 」 でのライブ音源をプラスした全10曲を収録。ジャズ畑の人がSSWの世界に足を踏み入れると奇跡的な一瞬を見せてくれることがあるのだが、表題曲の "Summer Nights, Winter Rain (A-1)" などは正しくその一例だろう。ピアノの優しい調べに導かれ、メロディライン上を漂う弛緩気味のヴォーカルは冷めた心を温めながら降り注ぐ音符の雨のよう、聴き惚れるほど素敵な歌である。カナダのSSW 「 Shirley Eikhard 」 嬢のバッキングVo が入った "Deep South Evening Light (B-2)" に "The Mountain Song (B-3)" も同質の心地良さを味わえる美しいジャズバラード。ブルーグラス調の "Little Momma (A-2)" に "Alfred The Hog (B-5)"。カンターカルチャーを代表する吟遊詩人 「 Jack Kerouac / Allen Ginsberg 」 の詩にスウィング調の曲をつけた"Pull My Daisy (B-4)"。 アフリカンしている "Song For Kenya (A-4)"など、オーディアンスがコーラス隊化している会場の一体感もライブの和やかな雰囲気を良く伝えている。A・ギターを抱えたSSW然としたジャケット意匠が、SSWの世界に足を踏み入れた「 Davis Amram 」 の音楽を良く伝えている。-- 今日も雨模様、温度を下げるごとにその雨粒はやがて白い雪に姿を変えていくだろう。その日は、もう近いようだ。---
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2009年11月14日

祈りの歌


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ニュージャージーのクリスチャン系フォークデュオ 『 Greenwood 』 。Betsy Ruffle ( Vocals ) / Doug Ruffle ( Guitar, Vocals ) に John Holly ( Electric Bass ) / Al Previto ( Lead Guitar ) / Pat Dutcher ( Recorder ) のサポートがつき、宗教系らしい純真無垢なゴスペルフォークを奏で歌っている。 2人は夫婦だろうか?、ライナーには、Doug氏はメゾシスト派の聖職者、Betsy嬢は同派の子供向けの教育プログラムの専門職についていると紹介している。-- Doug氏のオリジナル7曲にトラッド2曲、クリスチャン系SSW 「 William Flanders 」作の "Love Is A Verb (B-4)" など、全11曲を収録。アイリッシュのダンス曲として知られている "Lord Of The Dance (A-5)"、愛らしいメロの黒人霊歌 "Swing Low (B-6)"、マザーテレサも愛したという聖歌 "Prayer Of St. Francis (B-1)"、美しいメロをもったオリジナル曲 "When Jacob Was A Child (A-4)" に "In Love I Give Birth (B-3)" など。メゾソプラノの美しい歌声の持ち主 Betsy嬢がリードVo をとる楽曲が耳に残ってしまうが、ハイ・バリトン気味のDoug氏のリードVo に Betsy嬢の声質と相性のいいハーモニーもいい感じで素敵な楽曲に仕上っている。その中でも、アコースティック・ギターのキラキラ輝く弦音にのせた聖歌 "Prayer Of St. Francis" (聖フランシスの祈り)の出来栄えが秀逸である。-- 「Doug Ruffle」と「Betsy Ruffle」、今現在もニュージャージー在で同地のメゾシスト派教会で聖職者を務めている。2人は今も音楽も続けているのだろうか。---
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2009年11月08日

クロージング"アイ"ソング


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モンタナのクリスチャン系SSW 『 John McCulloch 』 。聴覚障害に盲目、11歳の時に宗教と出会った必然性は身に背負った人生の宿命と無関係ではないだろう。12歳からギターを習い始め、その年に初めて書いた曲が "A New Song In My Mouth" で、このデビュー作のA面2曲目に収められている。-- オリジナル、全10曲を収録。自身のヴォーカルにA・ギター、テープに録音された彼の弾き語り音源に 「Ed Halvorson」 ( Bass, Lead electric guitar ) と 「Sharon Shaw」 ( Piano ) が淡い色を添えている。裏ジャケットの写真はまだ少年、その幼顔とは裏腹に'70年代のSSWらしい枯れた味わいのメロディをかき歌っている。オープニングを飾る "Birds" はキャッチーなメロディをもった素敵な曲だ。曲の出来もさることながら、サビ部でファルセットする成熟した上手さはとても十代とは思えないほど完成されている。口笛で終わるさり気なさもこの曲をキラーソングにしている所以だろう。じっくりと聴かせるバラード系の "Baptism (A-5)" や "So Many Things (B-5)" 、エレクトリック・ギターがフルートの音色に聴こえてくる "What Can I Say (A-3)" など、他の楽曲を含め真摯な歌声が醸し出すクリスチャン系らしい純真無垢さは魅力的だ。sb_413b.jpgライナーの自身の言葉に "Listen to the songs, close your eyes, picture Jesus in your mind" -- 目を閉じて心にジーザスを思い描いて、私の歌を聴いてほしい -- とある。無宗教のものでも、彼が歌に託した神への思いは熱く伝わってくる。極めて宗教色の強い歌詞内容のものだが、SSW作品としても心地よく聴ける良質さを持っている。-- 「John McCulloch net」、ホーム・レコーディング・スタジオを紹介しているサイトがある。調べてみるとドメイン所在地はフランスになっている。フランスだからジョン氏本人ではないとは限らないが、バイオグラフィーもないので確認できない。同名異人だろうか、あれこれ調べて見たが確信をもてる今のジョン氏には辿り着けなかった。---
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