2009年08月29日

過ぎ行く時の歌


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前回に続きインディアナのクリスチャン系SSW 『Fred Rothert』 の '81年作で、多分、2作目と思われる作品。収録13曲中、シカゴブルースの "W. Broonzy" 作 "All By Myself (A-3)" に、カントリーのソングライターコンビ "Hank Cochran / Harlan Howard" 作の "I Fall To Pieces (B-3)" の2曲だけがカヴァーでライブ録音 (Mather's Saloon) されている。前者がスウィンギーなブルース、後者はワルツ調のカントリーバラードだが、両曲とも素晴らしい出来栄えである。それ以外は全てオリジナル、ドラムス入りが多くフレッド氏の魅力であるバリトン・ヴォイスはやや抑え気味。そのせいか、E・ギターのソロが入る "Treasure Hunting (A-1)" やフィドル&ドブロ入りの "Dobro Dan (B-1)" など、カントリー風味の楽曲はジェリー・ジェフ・ウォーカーを思わせるアウトローの趣を持っている。タイトなドラムス入りのブルース "Problems (A-4)"、スウィンギーなR&Rナンバー "Bar-Bay-O (A-6)"。A・ギターの弾き語りにマンドリン&ベースが入る "Sonoma Moon (A-5)"。泣きのE・ギターソロが入るバラード "Just A Habit (A-7)"。 フルート入りの "Moondrift (A-2)"。マンドリン入りの "Water Over The Sand (B-4)" などなど。ノリのいい楽曲に、SSWらしい静かなフォーキーソングを交えながらの硬軟バランスもいい塩梅で素敵な作品に仕上がっている。 -- 本作は、A・ギターの弾き語りの表題曲 "Time To Go (B-6)" で静かに幕を下ろす。今年の夏、寝苦しい熱帯夜の日は思いのほか少なく気がつけば虫たちが鳴き始めている。辺りはすでに秋の気配、"Time To Go" 過ぎ行く時は秋の到来を告げている。---
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2009年08月24日

真夏の夜の歌


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インディアナ州フォートウェインのクリスチャン系SSW 『Fred Rothert』 の1作目。ペーストオンされたジャケットの中には、'77-'78年の冬に録音された11曲収録(オリジナル7曲)の音盤が収められている。フレッド氏のヴォーカル& ( Guitar, Piano, String Bass ) に、控え目なバンドサポート ( Flute, Percussion, Drums, Dobro, Fiddle, Bass ) がついているが、本作の魅力はやはりフレッド氏のバリトン・ヴォイスに尽きるだろう。同じ声質のSSWにカナダの 「David Wiffen」 がいるが、彼ほどの深みはないにしても心落ち着かせてくれる重心の低い歌声は同類の魅力を持っている。カントリーフォーク&ブルース・トラッドなどのルーツ・ミュージックがフレッド氏の音楽スタイルだが、楽曲個々のスタイルの明確さが薄まってしまうのはフレッド氏の声質が際立って聴こえてくるせいだろう。オリジナル曲 "Great Silkie (A-2)"、"Partly For All (A-4)"、"I've Been Searchin' (B-2)" など、低音の魅力をたっぷりと味わえるSSWらしいスローなフォーキーナンバーは魅力的だ。sb_400b.jpg唯一、ドラムス入りのミドルテンポ・ナンバー "Open Secret (B-5)" の穏やかなグゥーブ感の心地良さは本作の中では一番の好み。やはり、ここでもフレッド氏の低音の魅力が一際光っている。爽やかな朝日と新鮮な空気のもとではなく、夜が帳を下ろし暗闇が支配した、深々とした時間とよく共鳴する音楽である。-- 「Fred Rothert」、今現在もインディアナのフォートウェイン在。同地にある中学校「Leo Junior-Senior High School」で "教師"を務めながら、3ピースバンド「Freddy and the Hot Rods」を率いて音楽活動を続けている。---
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2009年08月17日

64年目の記憶


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今年の1月のロンドン、英国のクリスチャン系SSW 『Garth Hewitt』 はパレスチナ・ガザ地区の平和を訴える "デモ" の先頭にたっていた。また、"From The Broken Heart Of Gaza" や "The Wall must fall" など、パレスチナをテーマにした楽曲をつくり歌っている。彼がディレクターを務めている人権支援団体 「Amos Trust」 の活動の一環だろう。-- '70年代初頭から今現在まで、数多くの作品をリリースしているガース氏だが、本作を含め初期3作品は南部の薫り漂うスワンプ・サウンドに仕上げっている。ゴスペル・ロック・カントリー・フォークなどが混在した音楽的立ち位置は、声質は違うがドン・ニックスと重なるところが多分にあり、その手のサウンド好きには魅力的に感じるだろう。女性コーラス隊を配した "Let Them See The Light (A-1)" に "Man In Chains (B-1)" などはメロウスワンプの心地良さを味わえるものだが、残念ながら参加ミュージシャン名を記していない。そのアーシーな硬質サウンドから推察すると初期作品に名を連ねていた "Bryn Haworth / Dave Mattacks / Gordon Haskell" あたりが務めているのだろうか。そんな楽曲に挟まれるようにA・ギターの弾き語り曲 "Brief Canqle (B-2)" など静かな楽曲が収録されており、アルバムと通しての硬軟バランスもいい感じの素敵な作品に仕上がっている。'80年代以降のガース氏の作品は未聴だが、冒頭に記した近作を "YouTub" で聴く限りはスワンプ色の強い南部サウンドは初期作品だけが持っているもののようだ。特にガース氏の1作目となる本作は、とりわけ、その色が鮮明である。-- 歴史に学ぶことは、"過去と現在の対話" だと人は言う。日本では64回目の終戦記念日を向かえ1億総懺悔は今も続いているが、これも長年に渡る自虐教育の結果だろう。金儲けの為に戦争動機を目論む輩もいる、世界の平和を祈りさえすれば平和が訪れるなどと考えるのは短絡的過ぎる。リスクを背負ったところに束の間の平和がリターンできるのが現実の世界である。水と平和は、けっしてタダではない。---
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2009年08月10日

涼歌


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6年前にエアコンが壊れて以来、冷気なしの蒸し暑い夏を過ごしている。そんな便利なものがなかった時代には、風鈴や簾や打ち水など、人は涼を求める工夫してきたのが極当たり前の生活だったし、季節の変化を肌で感じながら生活していくことは身体にとっても自然なことなんだろう。こんな季節、音楽で涼を求めるとするなら、涼し気な空気を運んでくれる美しい歌声が最適だろうか。 -- カナダはバンクーバーのクリスチャン系フォーキー 『Sister Monica Kaufer』。出身は米・シアトル、"Cenacle Sisters" という宗教団体との出会いがカナダで暮らすきっかけになったようだ。その団体からリリースされている本作。リリース年は不明だが、同団体の "スタッフ・プロフィール" から推察すると'70年代初頭だろか。"Sebastian Temple / Tom Parker / Barbara Pires / Sister Germaine" 等、クリスチャン系SSWのカヴァー曲だけ、全13曲を収録。全編、A・ギターの弾き語りによる美しい歌声を聴かせてくれる。彼女の声質は、線の細いソプラノではなく、やや線の太いメゾソプラノ気味のもの。楽曲によっては語りやセルフ・ユニゾンさせたものもあるが、どの楽曲も心を落ち着かせてくれる沈静効果のある美しさに満ちている。唯一、冷気を味わえる車中で聴く彼女の涼しげな歌声は、冷房効果を倍増してくれる心地良さである。-- 「Sister Monica Kaufer」、暫くカナダを離れ本国のバークレーで暮らした後に、またカナダへ戻っている。今現在も同団体のスタッフを務めながら、"音楽" も続けているようだ。---
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2009年08月01日

許されない愛の歌


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ダン・ペンとチップス・モーマンが書いた "The Dark End Of The Street"。多くの人にカヴァーされている名曲だが、個人的に、この曲を歌っている人で真っ先に名前を思い出すのがサザン・ソウルの 「James Carr」 に 「Ry Cooder」 だろうか。-- 英国のクリスチャン系ロックバンド 『The Mighty Flyers』。米国人を含む4人編成のバンドだが、彼等もこの曲をカヴァー(B-2) している。同じ楽曲でもカヴァーする人で歌の表情は違ってくるのだが、このバンドは 「The Band」 のノリで表現している。メンバーの誰が米国人なのか判別出来ないが、アメリカ南部音楽の影響を少なからず受けているようだ。ライ・クーダーがデビュー作 ('70年) で歌っていたアルフレッド・リード作 "How Can A Poor Man Stand Such Times And Live (A-2)" や、オリジナル曲 "Fire To Behold (B-1)" など。タイトなドラムスの刻むリズムにのせた歌たちはザ・バンドを聴いているかのような心持ちにしてくれるものだ。アコーディオンにヴァイオリン入りのバラード "Toward The Light (A-4)" にカントリータッチの "The Peachhers Song (A-3)" 、"Leave It There (B-3)"。リードVoとコーラスの掛け合いソング "Blood For Blood (A-5)"。ラストを飾るブルース調のR&Rナンバー "Denomination Blues (B-5)" 。この楽曲もライ・クーダーでお馴染みのものだが、ライブ会場の雰囲気を醸しだすサウンド・エフェクトの熱い演出が施されている。ザ・バンドやその系統の南部サウンドが好みなら、全曲、心地よく聴けるだろう。-- 全10曲(オリジナル6+カヴァー4)を収録。プロデュースは、英国のロックバンド "ストローブス" のオリジナルメンバーだった 「Tony Hooper」。ジェスロ・タルの初代ギタリスト 「Mick Abrahams( Guitar, Dobro )」 がほとんどの楽曲に録音参加している。--
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