2009年07月25日

親密な関係


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英国のエレクトリック・トラッド・バンド "Steeleye Span" に在籍していたドラマー 「Nigel Pegrum」 がバンド後に立ち上げたレーベル 「Plant Life」。'77-'84 年という短い間だけ存在していたトラッドやフォーク作品をリリースしていたレーベルだが、これらの音源を途中から受け継いだのが本作のレーベル 「Burlington Records」。-- 「Close Relations」 - 親密な関係- と題されたフォーク・デュオ 『Ken Okines and Sue Ashby』 の '81年作。プロデュースは、その "Nigel Pegrum" で、パーカッションで録音にも参加している。一応、デュオ名義だがスー嬢がリードVo をとっているのは1曲だけで、後はハーモニーVo と演奏 ( piano, clavinet, accordian, concertina ) だけに徹している。収録された13曲中、大半をケン氏のオリジナル曲が占めていることからもソロ作の趣が強い。ケン氏の作風は、トラッドとコンテンポラリー・フォークの狭間をいくもので、アイリッシュ・フォークが馴染んだ耳にはスンナリと受け入れられるもの。トラッドのバラッド "Blackberry Fall (A-2)"、"Tommy The Proud (A-4)"、"Little Mohee (A-5)" などでは、A・ギターの弾き語りにコンサーティーナやヴィオラの美しい音色を添えて心地よく聴かせてくれる。1曲だけトラッドのアパナチアン風なインストがあるが、B面はオリジナル曲だけ。中でもお気に入りは美しいメロディをもった "Fly Away (B-3)" 。A・ギターの弾き語りにクラビネットの音色とスー嬢のハーモニーが青空を漂う白い雲のように覆っていく、まさに聴く者を "Fly Away" な気分に誘ってくれる素敵な曲である。線の細い声質のケン氏には、哀愁を帯びたメロディに優しく歌いかける楽曲のほうが、より心に真直ぐ届くようだ。-- 「Ken Okines」 のオフィシャル・サイトは存在していたのだが、閉鎖されたのか昨日から接続不能になっている。そこには、ギター教師をしながらの"CD制作" やライブなど、パートタイムでの音楽活動の近況が紹介されていた。ケン氏と音楽との親密な関係は今も続いているようだ。---
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2009年07月21日

もうひとつのジェネシス


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'70年代、北アイルランドで絶大な人気を誇っていたという 「Mary McKee」 率いるゴスペルカントリーバンド 『The Genesis』。バンドの "ディスコグラフィー" によると、'70-'80年代にかけて"Pilgrim Records" から3作品を残しているが、'77年リリースの本作は紹介されていない。-- Mary McKee (Lead Vocal) / Johnston Curran (12-string guitar, Backing Vo) / Ian Bartholemew (A.guitar, Backing Vo) / John Maters (Bass, Backing Vo)。ドイツのディスコバンド 「Bonny M」がヒットさせた "Rivers Of Babylon (A-1)" をアカペラで歌っているが、メアリー嬢のリードVo と男性陣のハーモニーが織り成す美しさはコーラスグループとしての実力も有していたバンドのようだ。P・スティール入りのカントリーソング "He Came A Long Way (A-2)" 、 "That Day Is Coming Closer (B-1)"、"Book Of Life (A-5)"、"Help Me (B-5)"。物悲し気な音色のフィドルが入るバラード "Just One Look (A-6)"。ドブロ入りの "Guess Who Moved (B-4)" など。メアリー嬢の美しいヴォーカルもさることながら、セルフユニゾンさせたかのように溶け込んでいる男性陣のハーモニーの心地良さも魅力のひとつになっている。彼等の音楽スタイルはカントリーのものだが、アイリッシュ・フォークの薫りのする "He Came In Love (A-4)" や "Hold My Hand (B-3)"などを聴けば、本場ナッシュビル産のものとは一線を画した、アイリッシュ産カントリーであることが良く分かる。オリジナルはなくカヴァーものだけ、全11曲収録。耳元を優しく撫でていく心地いい英国産カントリーソングが堪能できる作品である。-- 本作は、紹介済みの "John Pantry" や "Helmut & Elisabeth" と同じスタジオ 「I.C.C」 で録音されている。このスタジオ作品ではお馴染みの元レジェンドのギタリスト "Mo Witham" もリード・ギターで顔を見せている。---
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2009年07月15日

ふたりのケン


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英国のクリスチャン系SSW 『Ken Scott』、前回紹介の 「Lou Hayles」 同様にフォークロックの名盤として密かに認知されている一枚。-- Ken Scott (A.guitar & Voice) / Bob Smithson (Bass) / J Greville (Drums) / Helios Quartet (Strings) 等、シンプルなバックを従え英国産らしいR&RからSSWらしいセンシティブな楽曲までバランス良く聴かせてくれる。"Do You Want To Know (A-1)" 、"There's Only One (A-2)" 、"How Can You Prove (A-4)" は、その前者のアップテンポな楽曲だが、A・ギターのカッティングとドラムスの刻むリズムが心地いい素朴なR&Rやフォークロックに仕上がっている。パーカッションの刻むリズムにのせA・ギターのアルペジオで歌われる "There Were Times (B-1)" の穏やかな浮遊感もいい感じだ。ノリのいい楽曲に挟まれるように収録されている表題曲の"Angela (A-3)" 、"Your Love Is So Real (A-5)" 、"Surrender (B-9)" 、"As I'm Singing To You (B-10)" などは後者の内省的な楽曲たち。A・ギターの弾き語りに、チャーチ・オルガン、ストリングスやハーモニーの淡い色を添えたものだが、キャチーなメロディに優しい歌声とも相まって素敵な歌に仕上がっている。"I've Tried (B-8)" は、カントリーフォーク調のものだがケン氏もアメリカ音楽に影響を受けているようだ。そう意味では、宗教色のある歌詞内容だが、アメリカのSSW好きにも十分に受け入れられる音楽ではないかと思う。オリジナル、全10曲を収録、プロデュースはベースで録音参加している "Bob Smithson" が手がけている。 -- 同名異人でジーザス・ミュージックを紹介している 「Ken Scott」 という人がいる。彼のウェブサイト "The Ancient Star- Song"や第4集まで出版されている "Archivist" は、この手の作品を知ることが出来る正に "バイブル" と呼ぶべき存在である。---
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2009年07月12日

隠れクリスチャン


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以前紹介した夫婦デュオ 「Dave & Dana」 がカヴァーしていた "Don't Let Them Fool You" のオリジナルが収録されている英国のクリスチャン系SSW 『Lou Hayles』 のデビュー作。英国フィメール・フォークの癒し系名盤として認知され、日本でもCD化されているもの。-- Barry Morgan (Drums) / Dave Markee (Bass) / Kevin Peek (Guitars) / Lizzie Mills (Oboe) 等、英国ロックファンには馴染みのミュージシャンをバックに、ピアノ系らしい優美なメロディと心癒される歌声を堪能できる。クリスチャン系には美しい歌声の持ち主は数多くいるのだが、ルー嬢の場合はそれとはちょっと違う印象を覚える。ウィスパー気味の歌い方のせいか、どこまでも澄み切った心を真直ぐ突き抜けていくソプラノ・ヴォイスではない。また、やりすぎない美学がクリスチャン音楽の心地良さと勝手に理解しているが、楽曲途中から音の厚みを増したりテンポを変えるなどのプロダクションが施されている。ストリングスを多用したドラスティックな演出などを含め、この辺りは個人嗜好で好みの分かれるところだろう。冒頭に触れた "Don't Let Them Fool You (A-1)"、A・ギターから入る "Father Of The Fatherless (A-2)"、キャッチーなメロの"Come To Me (B-1)"、ブルースピアノ風のイントロから入る"Travelling Along (B-3)"、オーボエが入る表題曲 "Don't Hide Away (B-5)" など、メロディの持つ輪郭を素直に伝える楽曲には心響かせるものがある。オリジナル全10曲収録、荘厳さの中にもどこか気品さを漂わせた楽曲たちは、やはり英国産らしいと再認識させてくれる音楽である。-- 特に女性SSWに見受けられるのだが、検索をかけても彼女等の今現在に到達できない "Don't Hide Away" な人がいる。ルー嬢もその中の一人なのだが、CD化された際のインナーには触れられているのだろうか。「Lou Hayles」は今も英国のどこかで歌っているのだろうか。---
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2009年07月08日

AORな人


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ミシガンのクリスチャン系SSW 『Doug Howell』 。"New Jerusalem" や "Good News Circle" と言ったクリスチャン・グループでの活動の後にソロ活動に転じ、'70年代から '80年代にかけて4枚のソロ作を残している。グループ時代に行動を共にした "Bob Laurent" に捧げられた本作はその1作目にあたる。-- オリジナル全11曲収録、アクを抜いたビリー・ジョエルとでも表現すればいいのか、ピアノ系らしいメローなメロディと微かにビブラートをきかせた円やかな歌声を堪能できる。アップテンポな明るめのオープニング曲 "Life Is Like A Melody" や "It's A Pity (A-3)" 、"I Wanna Spend Time With You (A-4)" などは正しくそのビリー・ジョエルっぽいところだが、カラっとした印象を受けるのはダグ氏の円やかな声質のせいだろう。しかし、その声質が一番活かされているのは、やはりAOR本道のバラード系の楽曲になるだろうか。表題曲の "Bluer Than It's Ever Been (A-5)" 、"With You Beside Me (B-2)" 、"Willie (B-3)" 、ラストを飾る "All I Ever Want (B-6)" など。その楽曲のもつメロディと歌声が人の心をどこまで陶酔させるかがAORの決め手なのだが、B面に集中しているこれらの楽曲たちはウットリさせるに十分な出来栄えである。どこか素朴さも兼ね備えた 「Doug Howell」の歌声は、AORはチョットと言う人でもスンナリと受け入れられるだろう。蛇足だが、2曲目に収録された "Brother" は、ダグ氏が "My Precious Brother" (私の貴重な友)と記している "Bob Laurent" に捧げた歌ではないかと想像している。-- クリスチャン系AORの名盤として認知されている人に 「Bruce Hibbard」 がいるが、個人的には、装飾を抑えた本作の 「Doug Howell」 のほうが好みである。---
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