2009年05月29日

フレンズ


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ニュースの"春一番"や"木枯らし一号"などのアナウンスを耳にすると、「ああ、春や冬はそこまで来ているんだなあ・・」と、その言葉に季節の変わり目を感じるものである。毎年、耳にできる季語のひとつなのだが、数年に一度の季語というものもある。それは"フレンド"。親しくもお付き合いもないご近所の年配者が突然に訪問してくるものである。こちらは、その目的は承知しているのだが、年配者同士だと時間つぶしの話し相手には丁度いい。上がりこんでは、年老いた母を相手に長々と世間話を始める。前説が済んだら、生活の不安を訴え政治の大切さを訴えていく。そして、今年は選挙の年、某・宗教団体お抱え政党への一票をさり気なく訴えるのである。いわゆる"フレンド票"獲得と呼ばれる信者たちの啓蒙活動である。大した効果があると思えないが、選挙があるごとに現れる突然の訪問者をみると、ご近所のよしみで一票を投じる人がいるのかも知れない。-- クリスチャン系の作品を聴いていると、この「フレンズ」という言葉をよく目にする。クリスチャン系SSW『Bob Puffer』のタイトルもその「Friends」である。テキサスはワコ生まれで、育ったのはニューヨーク。リリース年は記してないが、'70年代だろう。オリジナル全12曲、バンドサウンド(a.guitar, bass, Drums, keyboards, bongos, harmony vocals)にのせた心地いいフォークロックを聴かせてくれる。sb_386b.jpg表題曲"Friends (B-2)"をはじめ、カントリー風味なメロディにのせたアーロ・ガスリー似の歌声は実に耳に馴染み易く心地いいものだが、何かフックが足りない。それは、楽曲個々にメロディやテンポの明確な違いを感じないからだろう。悪く言えば紋切り型なのだが、最初の一曲"Changes, Places, Different Faces"を気に入れば最後の一曲まで心地よく聴けるのだけは間違いない。「Bob Puffer」、現在はニューヨーク州シラキュースを拠点に奥さん「Darleen Puffer」とのデュオ「The Puffers」としてカントリーゴスペルを歌い啓蒙活動を続けているようだ。-- 今のところ、数年に一度の訪問者は現れていない。あなたのお宅にも、突然の訪問者が現れたら"選挙近し"の知らせである。投票率を上げるのが、この手の訪問者の無言の撃退法である。---
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2009年05月24日

五月晴れの歌


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遥か彼方、山並みの稜線まで見渡せる素晴らしいロケーションで撮影されたカリフォルニアのクリスチャン系フォークデュオ『Loren & Beth』の'78年作。暑からず寒からず、春から夏の狭間にある5月は一年でもいちばん過ごしやすい季節だが、このジャケット写真が撮影されたのは何月のことだったのだろうか。雲ひとつない青空から降り注ぐ太陽の日差しは、どこまでも穏やかで優しい。丁度、今頃の五月晴れの心地よさを思わせる。-- 録音はサクラメントの"Featherstone Recording Studio"。夫の「Loren Sandford」のプロデュースで、妻の「Beth Sandford」と共に手がけたオリジナル(11曲)をヴォーカル・シェアしながら聴かせてくれる。オープニング曲"Something New"、続く"The Bell Song"で聴けるベス嬢のソプラノ・ヴォイスはクラシカルな声楽の響き。これが最後まで続くと近寄りがたいところだが、ノーマルな夫君のヴォーカルが本作を身近なものにしてくれる。時計の音のサウンド・エフェクトがリズムとなりそのまま歌になていく"Tick Tock (A-3)"、ベス嬢のハーモニーが鳥の囀りのように聴こえる"The Ice Cream Man (B-1)"。夫のことを歌っている"For My Husband (B-2)"、妻のことを歌った"My Wife (B-3)"。夫がリードをとれば、妻がハーモニーで寄り添う。その逆もしかり。まさに、表題通り"Sweet Spirit"。A・ギター、ピアノ、リコーダーなどの伴奏にのせた端正な二人歌声は、雲ひとつない青空のように清らかで暖かい、五月晴れの心地良さである。-- コロラド州・デンバー、「Loren & Beth」は「New Song Fellowship」という若者向けの教育プログラムを提供する宗教団体を主宰しているようだ。また、その団体のレーベル「Mew Song Music」からデュオ作品を発表している。---

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2009年05月18日

風の詩


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ワシントン,D.C.のカトリック系大学にいた「Jim Shaw」のピアノにハープシコード(チェンバロ)、聖トリニティ教会のコーラスグループにいた「Pat Solis」嬢のメイン・ボーカル、「Peter Grant」、「John Rigby」のA・ギターにヴォーカル。ベースもいるが、ほぼ4人だけで録音された『Listen To The Wind』。これはユニット名なのか、タイトル名なのかは判断できないが心癒される素敵な作品に仕上がっている。-- 全12曲中10曲を手がけているのが「Jim Shaw」で、残り2曲を「Pat Solis」嬢。表題からも推察できるように歌詞に宗教色はなく、以前紹介した自然回帰派の「The New Troubadours」と近いスピリチュアルなフォークを奏でている。本作の魅力はなんと言ってもパット嬢の絹のように艶やかなソプラノ・ヴォイスの美しさだろう。表題曲"Listen To The Wind (A-1)"、"Song Of Rain (A-2)"、"With You (B-2)"、"Grain Fields Of Wheat (B-5)"、パット嬢のオリジナル曲である"Garege (A-5)"に"Where Have You Gone (B-4)"。A・ギター&ピアノを主楽器に、チェンバロや男性のハーモニーを足したり引いたりしながら聴かせてくれる美しいメロディとパット嬢の歌声には魅せられる。空気を揺るがす歌声と楽器の波動は穏やかなそよ風となって耳元を優しく撫でていく。男性陣の一人「Pete Grant」がリードをとる"Here, There, And Everywhere (A-4)"に"Mighty Mississippi (B-3)"、3人で歌っているPP&Mスタイルの"Let It Sun (A-6)"など。テンポのいい明るめの楽曲との差異が引き立て役となり、パット嬢の歌声を一層魅力的なもの感じさせてくれる作品である。-- 本作は、ジム氏(風貌からは学生でなく教授か?)がノートブックに書き溜めていた楽曲を具現化したものようだ。ライナーには"Jim is already well into another notebook"の言葉が添えられている。"別のノートブックの準備出来ている"と書いてある。続編的な別作品が存在するのだろうか。---
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2009年05月16日

時は駿馬の如し


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前々回に紹介した「Joan Pritcher」同様に、マサチューセッツのクリスチャン系SSW『Barbara Garneau』もコーヒー色の午後の似合う純粋無垢なフォークを奏でている。SSWと言っても、彼女の場合はオリジナルは一曲だけで純粋なSSWとは呼べないかも知れないが、オリジナルがある以上よろしいかと。-- で、「Joe Wise」とかCCM系バンド"St. Louis Jesuits"に在籍していた「Tim Manion」「John Foley」等、カトリック系の作品を採り上げているので、彼女もカトリック系の人なのだろう。自身のヴォーカル&A・ギター、基本的には弾き語りだが曲によってサポート(a.guitar,drums, harmony vocals)がついている。表題曲"Only In God (B-2)"は、A・ギターの弾き語りに美しいハーモニーがつくフォークバラードだが、メゾ・ソプラノの柔らかな歌声と調和して素敵な歌に仕上がっている。"Isaiah 49 (A-4)"、"Song Of Blessing (A-5)"、"I Lost It All (B-4)"、オリジナル曲"John 17 (B-5)"など、じっくりと耳を傾けたい素朴な楽曲が並んでいる。宗教系作品はやり過ぎない抑制された清貧さが魅力なのだが、そもそも音楽を記録する目的(布教や連帯)が違うからこそ出来るプロダクションだろう。勿論、目的の為に宗教を利用する不届きな輩がいるのは古今東西・国を問わずであるが、少なくとも'70年代のフォーク・ミュージックには宗教への敬虔な一途さが感じ取れる。また、その音楽の無垢さが伝わるから聴き手はその音楽を魅力的に感じられるのだろう。無宗教の者が宗教音楽に拘るのも変な話だが、それとは関係なしに素敵な音楽が存在していたのだけは間違いない。-- マサチューセッツに馬だけをモチーフにしている「Barbara Garneau」という同姓同名の女性画家がいる。ジャケットの中にいる若かりし頃の彼女はボーイッシュな印象を与える、そんな彼女が歳を重ねたら、きっとこんな顔になっているのだろう。この画家は、ご本人なのか、そうでないのか、確めたいところである。---
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2009年05月09日

瞬間の音楽


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コロラドのクリスチャン系SSW『Randy Loyd』の素晴らしさは3曲目に収録された「Shel Silverstein」作"Laurie (A-3)"に尽きると思う。ランディ氏のA・ギター&ベース、ボストンのサイケデリック・ロックバンド"Eden's Children"に在籍していた「Rick Schamach」のA・ギターだけで録音されているものだが、その優しい歌声は美しいメロディとも相まって心癒される素敵な歌に仕上がっている。-- オリジナル曲の"Love Song (A-5)"、"San Francisco Summer (B-1)"、"June Marie (B-4)"、コロラドのSSW「Bill Courtright」作"Gone The Warmin' (B-6)"なども同タイプの心地良さを味合える素敵な曲。ギターとハーモニカで録音参加している「Rick Schamach」作"Rock'n Roll Is On Their Mind (B-5)"は唯一のR&Rナンバーだが、愛らしい女性コーラスが隠し味のお洒落感に溢れたR&Rに仕上がっている。それは表題曲"The Moment (A-1)"や「Travis Edmonson」作"Sonflower Song (A-2)"にも通ずるソフトロック的なお洒落感だ。ファッズ気味のギターにドラムスを効かせたフォークロック"Songs For Rebecca (A-6)"にハーモニカが入ったカントリー調の"My Hometown Doesn't Live Here Anymore (B-2)"などもあり、作品通しての硬軟バランスも絶妙だ。セルフプロデュース、オリジナル5曲を含む全12曲を収録。クリスチャン系を中心に聴いていると思わぬ素敵な作品に出会うことがあるのだが、最近手にした中では最も気に入っている作品である。-- 本作のアレンジャーで楽曲も提供している「Maryruth Weyand」は"Colorado Symphony Orchestra"に、ドラムスの「Johnny Montagnese」はプロデューサーやエンジニアとして他作品に名前が確認できる。「Randy Loyd」の今は未確認だが、他作品があるのかも含めて気になるところである。---
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