2009年03月28日

ウォーキング・ソング


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ミシガンのSSW『Michael A. Gardner』。紹介済みの前作「Driften」でも感じたことだが、自身のA・ギター&ハーモニカにバック陣(E&A Guitar, Mandolin, fiddle, Dobro, Flute, Piano, Bass, Drums, Percussion, Spoon, Washtub Bass, Cross Harp)を加えた本作には、ディラン・フォロワーというよりミシガンの「Guthrie Thomas」の例えに近い雰囲気を感じてしまった。-- ドラムス入りのフォークロック・ナンバー"Solo Dancer (A-4)"と泣きのギターソロが入る"Hard Learned Lessen (A-5)"、女性のバッキング・ヴォーカルにコーラスがついた"Down By The Bay (B-2)"。ドラムスが刻むゆったりとしたリズムにのせた包容力のある歌声の奥深さは、野太さでは劣るとしてもキャピトル時代のガスリー・トーマスを聴いているかのようだ。ギター1本で歌われる"Dejavu (B-4)"、小気味いいパーカッションにA・ギター&ハーモニカで歌われる"Live It By The Day (B-1)"、ドブロ入りのカントリーフォーク"Talken Me And You (A-2)"、ハーモニカとフィドルの音色が旅先へひた走る列車を想像させる"Walking Down The Road (B-3)"などのホーボー・ソングを聴いていると、仕事を辞めギターを抱えて放浪の旅にでたという彼の音楽は、ウディ・ガスリーやランブリンジャックエリオット等の延長線上にあるものだと再認識させてくれる。「Ben T. Lowell III」との共同プロデュース、全12曲オリジナル。-- ドアを開け歩をすすめる足音、そんな効果音にオーバーラップしてハーモニカ&ウォッシュタブベースと手拍子に合わせて歌われる"Walking Song (A-1)"で始まる本作。同じ曲がエンディングでも歌われ、ドアを閉める効果音でこの作品は終わっている。「Michael A. Gardner」は、ドアを閉めた後にどこへ旅立ってしまったのだろうか。現役を続けていれば何らかの情報が検索にヒットするものだが、今のところ皆無。人生の旅のどこかで、今も"Walking Song"を歌っているのだろうか。---
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2009年03月25日

ポップロックなクリスチャン


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英国ポップ・サイケ音楽好きに一部熱狂的ファンがいる『John Pantry』。60年代後期、"Norman Conqest"や"Peter & Wolves"での「バンド活動」。"スモール・フェイセス"やヒット曲を連発していた"ビージーズ"の初期作品に関わる「IBC Studio」のエンジニアとしての活動。英国ポップロックの華やかな表舞台で活躍していた彼がクリスチャン・ミュージックに傾倒していったのは何故か。プロデュースや共にツアーしたクリスチャン系ミュージシャンとの交流を通してキリスト教徒になったと、その経緯を「Wikipedia」では簡単に触れている。確かに彼がプロデュースした作品は多いし、このブログで以前紹介した"Helmut & Elizabeth"に"Len Magee"も彼の仕事だ。また、プレゼンターを務めているクリスチャン・ラジオ局「Premier Christian Radio」で触れられているが、米・カリフォルニアのクリスチャン・レーベル「Maranatha Music」で一年間仕事をしていたようで、本作が「Maranatha」からリリースされた理由はそれと関係があるのだろう。録音は、"Helmut & Elizabeth"と同じ「I.C.C. Studios」、E・ギターの「Mo Withman」や夫婦デュオの片割れ"Elizabeth Kaufman"がバッキング・ヴォーカルで参加するなどバックメンバーは重複している。さすがポップロックの王道を歩いてきた「John Pantry」、どこか、ロブ・ノークスやギルバート・オサリバンの雰囲気を漂わせた彼のボーカル。ピアノ弾きらしいキャッチーなメロディを持った楽曲たちのポップさは、仰々しい装飾のない抑制の効いたクリスチャンらしいポップさだ。オリジナル全10曲、下手な解説など不要の粒揃いのポップロックが収録された素敵な作品である。-- 本作以前、「Philips」からソロ2作品を残しているが、クリスチャン作品としては本作が一作目になるのだろうか、それから現在に至るまで数多くのクリスチャン作品を残している「John Pantry」。満潮時には渡れなくなるという小島で、奥さん、3人の子供、6人の孫、そして、2匹の犬と共に暮らしている。---
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2009年03月22日

晩秋の歌


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インディアナのクリスチャン系SSW『Fred Walker』の本作は、テネシー州はヘンダーソンビルにある「Superlor Sound Studios」で録音されている。自身のA・ギター&ヴォーカル、Fred Newell (E.Guitar, Banjo)、 Joe Osborn (Bass)、Buster Phillips (Drums)、 Farrell Morris (Percussion)、Tony Brown (Piano, Clavinett)、Terry McMillan (Harmonica)などのナッシュビル産カントリー作品では馴染みのミュージシャンたちが顔を揃えている。バンジョーに今は亡きテリー・マクミランのハーモニカが大活躍するカントリーロック調の"Life's Railway To Heaven (B-1)"。同じくハーモニカ入りのミディアムテンポのカントリーバラード"Exactly What I Need (B-4)"。ホンキートンクしているピアノにサクスフォンのリードが入るスウィング調の"That's Enough (B-3)"。これらの楽曲を聴けば、フレッド氏の音楽スタイルのベースはカントリーにあるのだろう。しかし、そこはクリスチャン。子供たちのコーラス隊が入るオープニング曲"Questions (A-1)"にストリングスを配したバラード"You Were On His Mind (A-3)"。ゆったりとしたワルツ調のバラード"My Desire (A-6)"や"Tis So Sweet (B-5)"を聴けば、フレッド氏の音楽は紛れもなくゴスペル音楽であることを認識させてくれる。リリース年は不明だが'70年代だろうか。CCM系ミュージシャン(Larry Norman, Bud Chambers, Reba Rambo)等のカバー曲が中心で、厳密に言えばフレッド氏はSSWではないのかも知れない。レタリング文字で紹介してはあるものの、如何せん、文字が崩されている上に小さ過ぎて判別できないでいる。こんなところでも、身の上の老いを切実に実感している。-- 今現在、インディアナからミシガンへ居を移し暮らしているフレッド氏。老後を過ごす介護施設等でのコンサート活動を中心に音楽を続けている。公式サイトで聴ける直近の歌声は、人生の晩秋を迎えた人々を優しさで包み労わってくれる歌たちに違いない。---
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2009年03月15日

雨を見る場所


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クリスチャン系SSW『Ed Kilbourne』の作品を紹介するのは、これで3作目。'83年リリースの本作は、今も暮らしているサウス・カロライナ時代のもの。セルフプロデュース、「Mick Kilbourne」嬢のヴォーカルと「Mike Hatcher」のE・ギターのサポートを一曲ずつ受けているが、エド氏一人(Vocals, Acoustic guitar, Electric bass, Synthesizer)で録音されている。-- 年代を遡るほど、カバー物が多くオリジナルの比率は低くなるのだが、本作では収録11曲中オリジナルが6曲とその数が逆転している。ダン・フォーゲルバーグ作の"Leader Of The Band (A-4)"、ハリー・チェイピン作の"Flowers Are Red (B-2)"、グラミー賞を獲ったアマンダ・マクブルーム作"The Rose (B-3)"、アーロ・ガスリーも歌っていた「Aaron Schroeder」作の"If I Could Only Touch Your Life (B-4)"など、カバー曲の多くがB面に集中している。カントリーフォーク調のオリジナル"Pinetree Canyons (A-1)"に"I Fall In Love Everybody (A-3)"、フォークバラード"Simple Things (A-2)"など、全ての楽曲で味わえるセルフユニゾンさせた深みあるヴォーカルは本作でも健在だ。中でも特に魅力的なのはオリジナルの表題曲"A Place To Watch The Rain (B-1)"。ジャケット写真には、雨に濡れる窓ガラス越しに外を見つめるエド氏の姿が使われているが、地をたたく雨音にシンセとA・ギターの音色が入ってくるバラードはエド氏の優しい歌声とも相まって、ジャケ写の世界のまんまの素敵な歌に仕上がっている。'80年代の作品になると、さすがに幾分は洗練されたサウンドに変化してはいるものの、やはり彼の心優しき歌心の世界は魅力的だ。これからも、数多く存在するエド氏の他作品に出会える幸運があること願っている。-- 窓辺で一緒に雨降る風景を見ているのは、ヴォーカルで参加している「Mick Kilbourne」嬢だろうか。今の奥さんとは名前は違うようだし。兄弟だろうか、それとも…。
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2009年03月09日

遠い夏の日


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"ジャケットから音楽が聴こえてくる・・"というのは、こんな作品のことを言うのだろう。ペーストオンされたセピア色の写真には、鬱蒼と生茂る樹木の道を手をつないで歩く二人の姿。ミシガンのクリスチャン系フォークデュオ『Chuck & Connie Coggins』の心優しい歌声を聴いていると、改めてそう思う。-- 録音は、ミシガンにある「Hidden Springs Retreat Center」でのライブになっているが、A・ギターと歌だけのシンプルな音楽にスタジオ録音との違いを見つけるのは意味がない。全11曲を収録、トラッドの"Amezing Grace (B-5)"以外は「Chuck Coggins」のオリジナル。"Questions Of Time (A-1)"、"Grater Is He (B-2)"、"Here I Am (B-3)"、"Such Wonderous Things (B-4)"。デュエットで歌われる美しいメロディのフォーキーソングたちには心癒される。「Connie」嬢のリードにチャック氏のハーモニーがつく"Call On Him (A-2)"、"Forgiveness (A-3)"。チャック氏の弾き語り曲"Every Day For You (B-1)"。カッティング&フィンガー、ふたつの穏やかな弦振動にのせて二人の優しい歌声が耳元へ運ばれてくる。何の変哲もないフォークデュオ作品なのに、こんなに惹きつけられるのは何故だろう。漫ろ歩くスピードに似たゆったりとしたミディアムテンポの楽曲だけなのに、個々が明確な表情を持って心に響いてくるのは何故だろう。楽曲ごとに入る拍手がサウンドエフェクトなのかと錯覚してしまうほど、観客は静かに聴き入っている。彼らの音楽を言葉で語ることは意味がない。聴衆の反応の静けさが彼らの音楽の素敵さを語っている。-- 1978年8月28日、ミシガンの夏が終わりを告げる頃、二人の歌声が流れる時間と空気を共有した観客たちの何と幸せなことか。2009年3月、春待ち遠しき北国の冬、遠い夏にミシガンの観客たちが味わった同じ感動をいま味わっている。---
posted by beck at 12:35| Comment(0) | 音楽(US) | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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