2009年02月27日

AM音楽


sb_369.jpg



移動中の車中で聴くラジオはAMにしている。幼い頃から耳に馴染んできたせいかも知れないが、あのモコモコとしたマイドルな音の響きが懐かしくも暖かな気持ちにしてくれるからである。-- 前回紹介したポール兄弟によるフォークデュオ『Two Pauls』の2作目。彼らの音楽は、どんなデジタル機器をもアナログに変えてしまうほど懐かしく暖かな響きを持っている。サイモン&ガーファンクルの"Bridge Over Troubled Water (B-3)"、PP&Mでお馴染みのジョン・デンバー作"Jet Plane (A-3)"などのクリスチャン系定番曲に加え、ボブ・ディランの"When The Ship Comes In (A-1)"、ラヴィン・スプーンフルの"Darling Be Home Soon (B-2)"、ジョナサン・キングの"Everyone's Gone To The Moon (A-2)"などのカヴァー曲をバンドサウンドにのせて聴かせてくれる。コーラス隊と手拍子で囃したてる"We've Come This Far By Faith (A-6)"にゴスペルカントリーのクラシック曲"Tramp On The Street (B-6)"など、ゴスペルのもつ荘厳さやポール兄弟のハーモニーはソロ作では聴けなかったところだ。ソロ作でも感じたことだが、垢抜けない古臭いサウンドなのだが何と暖かな心持ちにしてくれる音楽だろうか。デジタルに変換しCDRに落として車中のデジタル再生機で聴いていると、クルマの中はアナログの懐かしい空気に包まれる。クルマはタイムマシンになって遥か彼方の懐かしい時代へ連れていってくれる。「Two Pauls」の歌声は、きっと"AMラジオ"から流れてきている音楽に違いない。---
posted by beck at 09:37| Comment(1) | 音楽(US) | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2009年02月23日

ポールひとり


sb_368.jpg



ポール兄弟(Paul Nulton / Paul Fleeman)によるクリスチャン系フォーク・デュオ「Two Pauls」。彼らは、'60年代後期に2作品をリリースしているのだが、本作はデュオの片割れ『Paul Fleeman』のソロ作になる。デュオ作同様に収録年やコンポーザー名を記していないが、カヴァー曲から推察すると'70年初頭の録音ではないかと思われる。-- 当時、ヒットしていた楽曲のカヴァーにオリジナル曲をプラスするのがデュオ時代のスタイルで、本作でもそれは同じ。フィル・オクスの"That's The Way It's Gonna Be (A-1)"、ラヴィン・スプーンフルの"Coconut Grove (A-2)"、CCRの"Looking Out My Back Door (A-4)"、エレビス・プレスリーも歌っていた「Andrea Crouch」作"I've Got Confidence (B-1)"、ジェームス・テイラーの"Fire and Rain (B-2)"、ホリーズが歌ってヒットさせた"He Ain't Heavy, He's My Brother (B-6)"など、馴染みの楽曲が並んでいる。デュオ時代の楽曲"Theme (A-6)"の再演を含むオリジナルは、全12曲中4曲だけだ。プロデュースは、以前紹介した「Ron Moore」で、ギター&ベースで録音にも参加している。バンドスタイルにのせたサウンドは、ゴスペル色は薄まっているがデュオ時代と印象は変わらない。彼の歌声は、長いあいだ封印されていた祠を開けた時に放たれる黴臭さ、そんな骨董品的な懐かしさと暖かさを感じさせる響きを持っている。気だるさに満ちた楽曲"Coconut Grove"やオリジナル曲"Theme"、故「Larry Norman」作の"I Wish We'd All Been Ready (A-5)"などで聴ける霞がかった歌声は、どこか遠い時代の向こう側から歌いかけているようだ。音楽がデジタルに姿を変えデータ化してしまう以前の、作り手の暖かさが聴く者に直に伝わるアナログに相応しい素敵な音楽だと思う。-- ポール兄弟の一連の作品がリリースされた「Aztec Records」。イリノイ・ウィスコンシン・カンサスと、リリースされる度にその所在地は変わっている。「Paul Fleeman」、どこで暮らし何をしているのだろうか。残念ながら、今の彼の消息はつかめないでいる。---
posted by beck at 10:04| Comment(0) | 音楽(US) | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2009年02月18日

80と700


sb_367.jpg



録音スタジオを見て作品チョイスをすることが多々ある。ミネソタと言えば、それは「Sound 80」であり、インディアナで言えば「700 West Recordings」ということになる。利用する側のミュージシャンとっては、同業利用者が多い録音スタジオというだけの認識だろうし、全ての作品が素晴らしというのは聴き手の勝手な思い込みだろう。しかし、両スタジオ録音には素敵な作品が多いのも事実だし、何故か気になるものである。-- インディアナポリスのSSW『Terry Kimbrell』は、その「700 West」で録音されている。全10曲オリジナル、自身のA・ギター&キーボードにバンドスタイル(A & E.Guitar, Pedal Steel, Dobro, Banjo, Bass, Drums)のサポートがついている。バックコーラスを効かせた西海岸風な爽やかカントリーロックが主たるサウンドだが、テリー氏のヴォーカルは弱々しく今にも壊れそうだ。良く言えばナイーブな感性を感じさす歌い方なのだが、その良さは、バラード系の楽曲に顕著に活きている。"I Miss You So (A-4)"と"There Isn't Enough Time (B-2)"、どちらも素敵な楽曲だが、特に前者の楽曲はこの作品一番の出来だ。テリー氏のヴォーカルが弱々しいが故に、美しいメロディのもつ繊細でナイーブな歌心が上手く表現されている。これも聴き手の勝手な言い分だが、ソリッドなギターワークとタイトなドラムスで聴かせる表題曲"Distant Dream (B-5)"などのカントリーロック・サウンドもいいが、やはり、ナイーブな歌い方のテリー氏にはシンプルなアンサンブルで聴かせるアコースティックな音が似合っている。-- 「Sound 80」と「700 West」、両スタジオで録音された作品がまだ数多く存在するのだろう。人気盤で高価なものは遠慮するが、見知らぬ作品に出会える機会があったら迷うわず手にするだろう。---
posted by beck at 10:01| Comment(0) | 音楽(US) | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2009年02月14日

その日に


sb_366.jpg



当たり前のことだが、誕生日を迎えることは歳をひとつ確実に重ねるということ。歳の数を忘れたいほど時間を重ねてしまった自身には、誕生日にたいした感慨もなく、ましてや、数十年前の誕生日に"何をしていた?"などといった記憶は頭の片隅にも残っていない。-- カナダのクリスチャン系SSW『Dan Mullen』。何の記憶もない誕生日、"その日"と同じ日に遠く離れたカナダはオンタリオの教会(Wesleyan Church)で本作は録音されている。ダン氏のヴォーカルにベース&ピアノ、ギターにシンセ&バックヴォーカルなどのサポートがついているが控え目なもの。全12曲中、オリジナルは共作を含め4曲だけ、他は録音に参加している面々(Jim Mcbeth, Art Kennedy)が素敵な楽曲を提供している。"Bear Witness To The Light (A-2)"、"Springs Of Living Water (A-2)"、「Shron Gingrich」嬢とのデュエット曲"Almost Persuaded (A-4)"など、素朴で枯れた味わいの歌声とメロディが続く。A・ギター&ベースで聴かせる"Jesus (B-2)"に"Nobody Knows (B-3)"。ピアノ&シンセで聴かせる"Devotion (A-6)"に"Night Shore (B-4)"。リードのサクスフォンがフルートのように聴こえてくるバラード"Plenty Of Life (B-5)"。神のみもと、歌を捧げる喜びに溢れたその音楽に奇をてらう必要もなく、教会で淡々と歌っているダン氏の姿が見えてくるようだ。録音状態はけっして良くはないが、ジーザスソングながらSSW作品として十分に堪能できる音楽に仕上がっている。-- 表題の「I Want To Linger」、訳せば"いつまでもここに"とでもなるのか。ダン氏の場合は、それは"教会"であり"神のみもと"と言う意味だろう。彼の虚飾を払拭した素朴さはいつまでも傍に置いておきたい「I Want To Linger」な音楽である。---

posted by beck at 10:04| Comment(0) | 音楽(CA) | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2009年02月09日

ロンより唱歌


sb_365.jpg



レーベル固有のものでもないだろうが、カリフォルニアのクリスチャン系SSW『Ron Griffen』も、紹介済みの「Bob Hurd」と同じ音楽スタイルを持っている人だ。「F.E.L. Publications」からのリリース、A・ギターにフルートを多用したフォークゴスペル・サウンド、16人編成のコーラス隊に主役であるロン氏の存在が霞んでしまうなど、「Bob Hurd」と共通しているところは多い。-- 全11曲、オリジナル。表題曲の"Walk Across The Water (A-1)"、"God's Love Is You (A-2)"、"Free To Live (A-3)"、"Come, Follow Me (B-1)"、"Sing To The Lord (B-3)"など、ほんの一部でロン氏のリードVoが聴けるものの、ほとんどの楽曲で"合唱曲"としての表現方をとっている。宗教の教えの下に、意を共有する若者たちが集まり一緒に歌を歌うという一体感。「さあ、皆も神のもと僕等と一緒に歌おう!」、これがゴスペル音楽の主目的とするならば、クリスチャン系SSWにとって"合唱曲"は極自然は表現スタイルに違いない。もっと、主役としてのロン氏の歌声を聴きたいとか、リードVoとコーラスの棲み分けがあったらなどと、純粋にSSW作品として聴きたいと思うのは聴き手の勝手な言い分なのだろう。フルートのリードが入るA・ギターの弾き語り曲"Wings To Fly (A-4)"、A・ギター&ハーモニカのディラン・スタイルで聴かせる"Today I Give My Life To You (B-2)"、ピアノの弾き語りで聴かせるキャチーなメロのバラード"Sweet Mary (B-5)"、そして、エンディングで聴かせるA・ギターの弾き語り曲"I Thnak The Lord (B-6)"。フォーキー然としたロン氏の素敵な個としての姿を見せられると、もっとこんなスタイルで他の楽曲も聴けたらと思ってしまう。これも、聴き手の勝手な願いに違いないが、これも又、クリスチャン系作品で多々感じるジレンマだ。-- 「Ron Griffen」には、他にも作品があるのを確認している。それらが、"合唱曲"として表現されているのか、パーソナルなSSW然とした姿を見せてくれるのか、気になるところでもある。---
posted by beck at 10:09| Comment(0) | 音楽(US) | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
×

この広告は1年以上新しい記事の投稿がないブログに表示されております。