2009年01月31日

スーツ姿のSSW


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メタボ風な体つきに似合わずと言ったら失礼だが、心優しくも繊細な歌声を聴かせてくれるカンサスのクリスチャン系SSW『Randy Parks』。オープニングの"I Know Who You Are (A-1)"、フィンガー・ピッキングによるボォサ風な弾き語りの素敵な曲だが、耳を澄ませばA・ギターのサポートがやっと聴きとれる。自身のA・ギター&ボーカル、バンドスタイル(A & E.Guitar, Bass, Drums, Piano)のバックはついているものの、抑制のきいた極控えめな楽曲が多い。-- クリスチャン系SSWに多く見られる端正で生真面目な歌い方、もっと言うなら近寄りがたい声楽に近い発声法で歌う、ランディ氏のスーツ姿にそんなお堅いイメージを抱いていると見事に裏切られる。"I've Got A Reason (A-3)"、"I Have Love (A-5)"、表題曲の"Jesus Is The Song (A-6)"など、オープニング曲の出来を裏切らない枯れた味わいの静かなフォーキーソングが続く。そうかと思えば、"Lovin' Me (A-2)"、"Takin' And Walkin' (A-4)"に"Maybe Today (B-5)"では、ドラムスやE・ギターを効かせたフォークロックを聴かせたりと楽曲間の抑揚もいい感じだ。ピアノ入りの"I'll Give To You (B-2)"、「Susan Parks」嬢(奥さんだろうか)とのデュエット曲"Overflowing Love (B-4)"など、歌詞内容は宗教色が色濃いものの実にSSW然とした歌を聴かせてくれる人だ。'84年リリースにしては、音のバランスも録音状態もけっしていいものでない。それが又、SSWたちが持っていた'70年代初頭の素朴なサウンドを再現し、この作品を一層味わい深いものにしている所以だろう。思わぬ人から、思うぬほど素敵な歌を聴かされた時の"驚き"、そんな感慨を抱かせる作品である。-- 全11曲、共作を含めほぼ全ての楽曲を「Randy Parks」が手がけている本作。フルタイムでの活動かは不明だが、ランディ氏はSSWとして今だ現役を続けているようだ。その活動振りの一端を「MySpace」で確認できる。---
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2009年01月29日

音楽の履歴書


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むさ苦しい不精髭にこけた頬、どこか暗い陰を引きずってるような虚ろな眼差し。さる高名なお方が残した言葉に"男の顔は履歴書"というのがあるが、家族離散に薬物依存など、塗炭の苦しみを舐め幼少期から青年期を過ごしてきたという彼の履歴がその表情に見てとれるのだろうか。-- 聖書との出会いが荒んだ人生から救ってくれたというクリスチャン系SSW『Len Magee』のデビュー作。暗い過去と決別し、新たな人生を歩み始めた希望溢れるオリジナル曲が収録されている。プロデュースは、紹介済みの夫婦デュオ「Helmut & Elisabeth」と同じ「John Pantry」。カントリーロック風味な"Freedom Road (A-1)"に"Cast Your Burden (B-4)"、A・ギター&ハーモニカを奏でながら陽気に歌いあげる彼の姿に過去の暗い翳りは微塵も感じない。キャッチーなメロディを持ったポップロック・ナンバー"Mary Mary (A-2)"に"Which Station? (A-5)"。美しいメロディのフォーキーナンバー"I Found God (A-2)"に"The Morning Comes (A-4)"。哀愁帯びたメロディのスローバラード"For Me (B-2)"に"Nativity (B-3)"など、どの楽曲も捨て堅い良質のジーザス・ソングが並んでいる。背負った過去の重圧から解き放たれ希望に満ちた明るい歌声は、聴くものを心からリラックスさせてくれる。オーストラリア人の彼が英国に残した優れたクリスチャン作品の一枚ではないかと思う。-- 「Len Magee」の公式サイトの"ゲストブック"には、彼の歌声に救われた者や楽曲への思い出を語る世界の人々の書き込みが残されている。その彼は、母国・オーストラリア(ゴールドコースト)に戻り、聖職者として残された人生を歩んでいる。---

Len Magee Official Site
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2009年01月25日

オール・オブ・ミーな気分


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「私のすべてをどうして奪ってくれないの、あなたとキス出来ない唇なんていらない、あなたを抱きしめられない腕なんていらない、用はないから私のすべてを持ってって…」 -- ジャズのスタンダード「All Of Me」を小粋にきめてくれるのはミシガンのオールド・タイミーな4人組フォークバンド『Footloose』。彼等の3作目になる作品で、大学でのライブにスタジオ録音を数曲プラスしたもの。バンド名の意味する通り、ジャズ・フォーク・カントリー・スウィング・ジャグ・トラッドなど様々な音楽スタイルを"自由気ままに"奏でている。デビュー時からベースのみチェンジしているが、「Bill Barton (A.Guitar, Fiddle, Slide Guitar, Mandolin, Vocals)」「Myron Grant (A.Guitar, Mandolin, Bones, Harmonica, Vocals)」「Patty O'Connor (A.Guitar, Flute, Mandolin, Triangle, Vocals)」「Dave Crandall (Bass)」等の面々。ロドニー・クロウエル作の"Leavin' Louisiana (A-2)"、オリジナル曲の"A Certain Way (A-4)"に"I Missed You Than One Time Today (B-3)"など、キャンパス・ライブという若い客層を意識した選曲か、カントリー・フォーク調の耳に馴染みやすく心地いい楽曲が多い。アイリッシュ・フォーク調のバラッド"Come To The Green (A-3)"や美しいフォーキーソング"Cedar Lake (B-5)"なども琴線をくすぐる素敵な曲だ。観客たちもその歌声に酔っているのか、水を打ったように静まり返って聴いている。無論、バンドの紅一点「Patty」嬢の歌う"All of Me"もそうだが、"Snow Song (A-5)"や表題曲の"Call In Well (B-1)"などのジャズ風味な乗り乗りスウィング感はこのバンドの真骨頂。拍手喝采の多さがライブ音源であることを、やっと気づかせてくれる。オシャレでありながら、素朴さも兼ね備えた素敵なバンドである。-- 「Footloose」のメンバーたちが水遊びに興じる湖は収録曲の"Cedar Lake"だろうか。雪降る寒い季節に涼しげな水景色は不要のもの、「All Of Me」の気分である。---
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2009年01月21日

純真無垢の歌


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ラストに収録されたインスト曲のタイトル"F.I.L.B. (B-6)"について、その言葉の意味を多くの人々が訊ねるという。公式サイトでそれについての答えがあるが、「Frozen In Loving Beauty」を略したもののようだ。英国のバンド「Roxy Music」のメンバーだった「Brian Eno」は、バンド解散後のソロ活動で環境音楽へと転身した作品群を残している。録音当時、ブライアン・イーノの環境音楽を数多く聴いていたようで、その音楽スタイルに大きな影響を受けた楽曲だったようだ。-- ウィスコンシンのクリスチャン系SSW『John Villemonte』の3作目。A面「From The Woods」B面「Into The Field」、"森から野原へ"といった意味合いの副題が添えられている。彼が所属していた組織「Eckankar」の教え「Light & Sound」を研究することから生まれたというオリジナル曲が収録されている。日本人には、森羅万象全てのものに神が宿るという「八百万の神」の信仰思考があるが、自然回帰的な生き方を諭す「Eckankar」にも近いものがあるのかも知れない。表題曲"Clear & Velvet (A-1)"、"Soul Has No Shadow (A-2)"、"Travelling Sugmad (A-3)"。A・ギターやピアノを爪弾きながら歌われる楽曲には澄み切った清流の流れる音が聴こえてくるようだ。sb_360b.jpg少しのサポートは受けているが、ピアノにA・ギターを一人で爪弾きながら聴かせてくれる純真無垢な美しい歌たちには心癒される。彼自身、歌声を聴いてもらえればアシッドやサイケという飾り言葉を付けられるのもいいことだろう。ここには、そんな飾りなどとは無関係の、人間としての生き方を自然の中に見出そうとする美しい歌声がある。汚れなき美しい風景に似合う音楽があるだけだ。清流を泳ぐ川魚のジャケット・イラストが、彼が伝えんとする音楽の全てを語っている。-- アンビエント・ミュージック(環境音楽)、今の時代風に言えば"エコ・ミュージック"とでも呼べばいいのか。音楽は、環境を汚さず繰り返し何度でも再生できる究極のエコロジーである。---

John Villemonte Official Site
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2009年01月17日

曖昧さの魅力


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クリスチャン系SSW『Paul Thorson』がくつろいでいる所は、カリフォルニア州・サンディエゴから真東に位置する小さな町に建つ"Julian Hotel"。ホテルのある町"ジュリアン"は1900年代のゴールドラッシュ時代に栄えた鉱山町で、現在は観光やリンゴ産地として有名なところのようだ。グーグル・マップのストリート・ビューで見ると、ジャケット写真が撮られた頃と小さな変化はあるもののホテルの全体像は撮影時のままだ。アメリカ国内の大学や高校などを歌って旅していたというポール氏だが、その旅途中の束の間を過ごしたホテルだったのだろうか。-- 全10曲、オリジナル。自身の音楽スタイルを「Soft Contemporary」と紹介しているが、その言葉通り聴く者を包み込むようなマシュマロのような柔らかい歌い方をする人だ。"Now (A-1)"に"Life Gose On (B-5)"、ストリングを配したバンドサウンドにフルートのリード、ピアノ弾きらしい甘い旋律にのせたソフトタッチな歌声はポール氏の特徴がいちばんいい形で表現されている。長いトーキングのあとに歌い始める"Hey There Commissioner (A-3)"、ピアノの弾き語り曲"Rise Abouve The Clouds (A-5)"、フルート入りの"Now I Belong (B-2)"など。ホーン入りのジャジーで陽気な楽曲"Sometimes (B-4)"もあるが、他はミディアムテンポのバラード系が多くを占めている。これぞという突出した歌があるわけでなく、どことなくアーバンで、どことなくルーラルな雰囲気の垢抜けない楽曲たち。けっして美人ではないのに人を惹きつけてやまない魅力的な女性はいるものだが、彼の音楽はそれに似た感覚を抱かせる。彼のソフトな歌声から去りがたくさせるのは、そんな曖昧さのもつ不思議な魅力のせいかも知れない。-- 「Paul Thorson」には、著作物の他にもう一作品「Fixin' Our Eyes On Jesus」あるのを確認している。出会える機会があったら聴いてみたい気にさせる人である。---
posted by beck at 19:48| Comment(0) | 音楽(US) | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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