2008年11月27日

音うらら


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毎年のことながら、この時候になると鉛色の雲が途切れることなく北国の冬空を覆っている。太陽の顔を拝めないのは寒さ以上に気分の滅入る鬱陶しいもので、こころ晴々とはなかなかいかない。-- 降り注ぐ陽光に包まれた中庭で、洗濯に勤しむお母さんの姿をとらえたスナップ。傍らには、寝そべる子犬と火にかけた大鍋。背後にはバラの蔦をまとった井戸小屋が建っている。なんとも暖かな気分にしてくれるジャケットはジョージア州・アトランタの親子コンビ『Jack and Helda Kitchens』。母親「Helda(Piano, Vocal)」と息子「Jack(Lead guitar, Vocal)」、それに4人編成(Rhythem guitar, Violin, Steel guitar, Bass)のサポートがついている。楽器構成から分かる通り、奏っている音楽はカントリーゴスペル。洗濯板でゴシゴシやりながらカントリーを口ずさむ陽気なヘルダ母さんの暮らす家、そんなアメリカの長閑な家庭風景が見えてくるようなオリジナル曲が並んでいる。表題曲の"A Child Of The King (A-1)"、"He Touched Me (A-2)"、"A Little Spot In Heaven (A-3)"、"Where Could I Go? (A-4)"、トーキングを交えたワルツ調のカントリーソングが淡々と続く。この親子は「Evangelists(伝道師)」と名乗っているのだが、曲間のトーキングは福音書の一節でも読んでいるのだろうか。一曲だけでリードをとっている息子さんは、演奏(インスト4曲)とバックアップ・ヴォーカルだけに徹しお母さんの歌を支えている感じだ。母と息子と音楽、日常生活に宗教と音楽が根付いているお国柄では珍しくない光景なのだろう。-- 太陽の日差しにバラの花が真紅に輝いている。日本の暖かい地方では一年通して見られるというバラだが、アトランタではどうなのだろう。ジャケットの中の季節は、もうすぐ夏を迎えようとする晩春の頃だろうか。太陽の日差しを拝めない鬱陶しさは、親子の音楽とジャケットの暖かさで埋めるしかない。---

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2008年11月24日

お花畑の歌


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死の淵を彷徨った臨死体験者の話に「お花畑」を見たというのがある。そのあまりの美しさに誘われるまま足を踏み入れれば「あの世」に行くことになるし、思い止まれば「この世」に舞い戻れることを意味する。-- 辺り一面に咲き乱れるお花畑の中にいるのはオレゴンのクリスチャン系デュオ『Jeanne & Joanne』。録音はカリフォルニアのエル・モンテにある「Sound House」というところ、全12曲オリジナル、Jeanne嬢が詞を書き、Joanne嬢がメロディをつけている。ライナーによると、二人は双子姉妹。幼少期にはファミリーバンドで歌いはじめ、高校・大学を通し音楽を学び、'68年には米北西部を中心したコンサートの旅とある。音楽一筋の思春期を過ごしたという二人の歌声は筋金入りの感だ。"Peace, Is It Just A Words? (A-1)"、"I Corinthians (A-3)"、"Cover Me (A-6)"、"Many Are The River (B-3)"、表題曲の"Look Around You (B-6)"など、ストリング入りのバンドサウンドのせた美しいハーモニーはクリスマスを迎えるこの季節にぴったりのフォークゴスペル作品。静かな楽曲に挟まれるように、"Sefe Am I (A-2)"、"Could I Doubt (A-4)"、ホーン入りの"Walking, Talking (B-1)"、"Keys To Happiness (B-5)"など、愛らしいメロディを持った明めの楽曲がバランスよく配され、作品一枚を通し心地よく聴かせてくれる。-- 臨死体験者が現世に舞い戻るきっかけに、肉親の呼び止める声が聞こえるというものがある。もし、運命の別れ道に天使のような「Jeanne & Joanne」が現れ「こちらにおいでよ」と美しい歌声で誘われたら、そんな制止の声など無視してお花畑に踏み入れてしまうのかも知れない。---
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2008年11月21日

国民的SSW


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オリンピックや各種スポーツの世界大会など、大きなスポーツイベント事にはテーマソングがつきもの。米・男子ゴルフツアーのメジャー大会のひとつ「マスターズ」にも「Augusta」という表題の公式ソングがある。歌っているのは、'70年代から活躍しているSSWの「Dave Loggins」。ゴルフ殿堂入りしている過去の名プレイヤーたちの名前が歌詞に盛り込まれた素敵なバラードで、ゴルフ好きなら一度は耳にしたことがあるだろう。オーストラリアでは、国民的人気スポーツであるフットボールの公式ソングをSSWの『Kevin Johnson』が歌っている。「Aussie Rules I thank you for the best years of our lives」題されたこの曲は、フットボールの歴史100年目を記念したもの。ケビン氏のヒット曲「Rock and Roll I Gave You The Best Years of My Life」(2作目の収録曲)の表題と歌詞を代えただけのものだが、マスターズの公式ソングにも負けない素敵な歌である。-- 本作「Joureys」は、そんな彼の4作目にあたる作品。ヒット曲「Rock and Roll 〜」は「Mac Davis」等のカントリー系の人にカヴァーされているので、彼自身カントリー系のSSWには違いない。しかし、オーケストラを配した極上バラードの数々は凡庸なカントリーとは一線を画している。キャッチーなメロディを有したオリジナル曲はどれも捨て堅いのだが、渋く深みのある男の歌声には"Oleanders (A-2)"や"I Came To Somerest (B-1)"などのバラード系が良く似合うし魅力的だ。表題の「Journeys」通り、旅情へと誘うようなバラードの歌心は彼の真骨頂だろう。旅先でぼんやりと眺めている、そんな美しい風景が目に浮かぶような気持ちにさせてくれる素敵な音楽である。-- 日本でもそうだが、公式ソングを歌える歌手はその国での人気度や認知度が高いという証左だろう。公式ソングを歌っている「Kevin Johnson」、オージーの間では、その名を知らぬものなどない国民的SSWの一人ではないかと想像している。---

Kevin Johnson Official Site
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2008年11月15日

天使の歌声


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楽器演奏の出来る人は、音楽が聴くものの対象でしかない無縁者にとっては羨ましい存在だ。ましてや、家族みんなで楽器を演奏し、家族一緒に歌を楽しめる家庭環境は憧れだったりする。-- 個人的憧れを体現し、和みの音楽を聴かせてくれるのはマサチューセッツのファミリーバンド『The Maxner Family Band』。「Maxner」家は、夫婦に子供4人のクリスチャン音楽一家。夫・Steve (Acoustic guitar, Banjo, Mandolin, Vocal)、妻・Jennie (Bass, Piano, Vocal)、娘・Joyce (Tambourine, Kabasa, Vocal)、娘・Mollye (Piano, Vocal)。-- 娘の愛くるしい歌声と母娘の心温まるハーモニーが聴ける"Are There Big Wheels Up In Heaven (A-4)"、幼娘が自作曲をたどたどしいピアノ演奏と歌声で聴かせてくれる"The Only Way To Heaven (B-6)"。夫婦の会話を歌声でやっているようなかけ合いソング"Noah's Boat (B-4)"など。これらの楽曲は、家族の温もりが伝わるファミリーバンドらしい面を垣間見せてくれるところ。この娘等にして、この母親ありなのか。オリジナル11曲中、ほとんどの楽曲でリードヴォーカルをとっているのが美しい歌声の持ち主の母親・Jennie。表題曲の"Fathe Above (A-1)"、" You Quietly Listened (B-5)"、"Jesus (B-1)"、"Less Than The Least (B-3)"など、美しいメロディにのせた純真無垢でスピリチャル、まるで天使のような歌声たちには心癒される。ファミリーアルバムでありながら、母親個人のソロ作としても十分に堪能できる作品に仕上がっている。sb_342b.jpg母親の美しい歌声を中心とした「Maxner」一家の紡ぎだすサウンドは、ファミリーバンドの枠を超えた良質のフォークゴスペル音楽だと思う。-- 家族を音楽的にサポートしているプロデューサー「Al Schackman」は、録音(Electric guitar, Harmonica, Piano, Vibes, Synthesizer)にも参加している。本作の音楽的センスの良質さは彼の力に負うところも多そうである。「The Maxner Family Band」にはもう一作品あるのを確認している。出会える機会がれば、ぜひ聴いてみたいバンドである。---
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2008年11月10日

偶然の音楽


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演奏もなし、オリジナル曲もなし、歌うことに徹しているクリスチャン系の『Ron Kenes』。-- ペンシルベニア録音、楽曲も提供している「Bill Koons」のピアノ伴奏と「Pat James」のベース、数曲で女性2人のバックアップ・ヴォーカルがついているだけのシンプルなアンサンブルで録音されている。そのピアノを弾いているBill氏作が3曲、クリスチャン系の「Dalls Holms」等のカヴァー6曲、全9曲を収録。表題曲の"I Love You Lord (A-1)"、"I Am Loved (B-1)"、"How Can I Ever Thank You (B-2)"、キャッチーなメロディを有しながら少しも押し付けがましくなく耳元を流れていくのは演奏のシンプルさと歌声の純朴さ故か。"Draw Closer To Me (A-2)、"Follow You / I Live (B-4)"、リーディング入りの"Whosoever Will Come (B-5)"など、ゆったりとしたピアノの調べに歩調を合わせるように4分を超える長めの楽曲が多い。言葉の重みを伝えるように切々と歌いかけるRon氏のヴォーカルスタイルはやや張り過ぎる面もあるが、クリスチャン系らしい真摯さに溢れ心地良く心に響いてくる。ジーザス色の強い歌詞内容だが、枯れた味わいというのは、きっとこんな歌たちのことを言うのだろう。-- 検索窓に適当に名前を打ち込んで、どこにも紹介されていないであろう作品と出会える偶然が楽しみだったりする。そんな偶然で出会った「Ron Kenes」。残念ながら、あれこれ彼について調べてみたが何の情報も得られなかった。まだ何処かで歌っているのだろうか。--
posted by beck at 11:48| Comment(0) | 音楽(US) | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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